参院安保審議、野党は対案示し内容深めよ


 衆院を通過した安全保障関連法案を参院で審議する特別委員会の設置があすの本会議で決定し、27日にも審議入りする見通しとなった。「採決不能の状態に追い込む」という戦略を描く共産党が院外の反対運動を強める中、民主党、維新の党など野党は政府案への対案を示しながら、法案の内容を深める審議を実現してほしい。

反対デモに駆けつける

 安保関連法案は自民、公明の与党と野党の次世代の党の賛成で衆院を通過したが、反対する野党は本会議場を退席するなど「与党強行採決」を印象付けた。民主、共産の野党議員は国会周辺の反対デモに駆けつけるなど、マスコミにアピールする院外闘争を演じた。

 共産党など左翼政党には「60年安保闘争」のようにデモで政権を追い込もうとする傾向がある。しかし、デモで国政を左右しようとするのは議会制民主主義への挑戦だ。

 懸念されるのは、デモに参加する労組の支援を受ける民主党が共産党に追随することだ。衆院でも審議拒否を繰り返しており、また、安保政策は党内の左右対立を引きずる民主党のアキレス腱で、政権時代に顕著な弱点となったが、今回も野党第1党であるにもかかわらず対案を提出しなかった。

 また、衆院審議での野党側の質問は、我が国が戦争に参加するかのような扇情的内容が目立ち、現実的な議論が深まらなかった。

 我が国が自衛隊海外派遣による国際貢献を初めて行ってから20年以上が経つが、危険が生じる可能性もある派遣先で外国部隊と活動する際の法の不備を是正するのが安保法案の目的でもある。「若葉マーク」を外す議論に民主党も加わるべきだ。

 ところが、危険の可能性をことさら「戦争の可能性」に結び付け、政府案を「戦争法案」と呼び、国民の不安を助長した。院外の反対運動と連動して批判をさらに強め、安倍政権に一層の打撃を与え得るという党利党略的な計算も働こう。しかし、これでは民主党は政権担当能力を喪失したと受け取られるに違いない。

 世論調査では安倍内閣の支持率急落が伝えられるが、野党もさえない。7月の政党支持率は時事通信社の調べで自民党23・6%(6月24・2%、以下同)、民主党5・5%(6・4%)、公明党3・5%(2・7%)、維新の党2・0%(1・5%)、共産党1・7%(2・8%)だ。

 NHKの調べでは自民党34・7%(35・8%)、民主党7・7%(9・4%)、公明党4・2%(3・6%)、維新の党2・5%(2・6%)、共産党3・3%(4・4%)だ。

 野党の批判が集中する安倍政権・自民党と強硬な反対姿勢を取る民主、共産が支持を減らしていることは、政治不信を増した結果である。

扇動的な対決避けよ

 民主党は共産党のような扇動的な対決路線を取ることがあってはならない。維新の党は既に対案を示しているが、民主党も責任野党として対案を提出し、論戦で建設的修正を働きかけるなど参院が良識の府であることを示すべきである。

(7月23日付社説)