与野党の関係 支離滅裂な政界再編話


 永田町の与党と野党とは仲が悪いようで仲がいい。仲がいいように見えても実はそれほどでもない。この与野党の関係ほど摩訶(まか)不思議なものはない。

 それは双方の要求を正直に持ち出せば収拾がつかなくなるからだ。要求を出せばケンカ別れするに決まっている。さりとて要領を得ない要求にまじめに答えるのも大人気ない。そこで互いにムニャムニャの禅問答に終始してしまうのだ。

 緊張状態にある与野党がテーブルひとつ隔てて円満な話ができる筈がない。互いに奥歯にモノがはさまったような気持ちで別れるか、あるいは卓を叩(たた)いてケンカ別れにするしかない。古来永田町で与野党交渉が何の支障もなくまともにまとまった例はあまり聞いたことがない。

 しかし永田町で何か大きな仕事をするためには与野党の単騎出撃では高が知れている。ひとり相撲に終わるのがオチだ。しかし両党間のチャンネルが、チャカチャカと健全に動き出すと意外な収穫がある。きのうまでは敵であった相手と手のひらを返すように仲良しとなる。天下の仇敵(きゅうてき)と日頃敬遠していた相手と無二の親友となる例が沢山ある。

 いま永田町は政党の合同や政界再編成の話が盛んだ。政治家二人が会うと挨拶代わりにこの話題からはじまる。しかし話はそこまでで、先には仲々進まない。だから永田町の合同噺(ばなし)は話のための話と思った方が安全だ。

 しかし、いくら合同噺といっても、与党だけの議論では話が狭くなる。しかし与野党合同の議論になると、話が大きくなって収拾がつかない。大きくても小さくても永田町の合同噺はいつも支離滅裂だ。

 しかしこんな失敗を繰り返していると互いにコツが分かる。手練手管もイタにつく。いまの永田町はひとりやふたりの有志が集まって議論しても何ともならない。やっぱりみんなが一堂に会してチエを出す必要がある。

 世間で一番難しい仕事は政治家の選挙区整理の話だ。日頃絵に描いたような理想論をまくし立てる大先生もわが選挙区の手直しになるとたちまちダダッ子と化する。我理我欲を振りまわしてはばからない。

 まず国会議員の選挙区に対する我理我欲を捨てない限り永田町では何ひとつまとまらない。日頃正義正論を口にしてやまない大先達に「まず貴家の選挙区を変えろ」と言ったら火のように怒るに違いない。このように永田町の人たちは口とハラとが大違いだ。ここでの大仕事はいつも天下第一の難事となるのはそのためだ。

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