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渋谷「同性婚」条例 懸念すべき他自治体への波及


 同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行することを盛り込んだ「同性婚」条例が東京都渋谷区議会で成立し、1日から施行された。証明書は早ければ今夏にも発行されるという。

家族制度の混乱に拍車

 家庭の核となる「夫婦」についての価値観は社会の根幹に関わるとともに、個人の思想・信条の問題でもある。そのような重大な施策の変更には、国家レベルの議論、承認が不可欠である。それを区民の間にさえも十分な情報開示を行わないまま条例で行うのは自治体の“暴走”と言うほかない。

 また、世田谷区長が同性カップルの公的認定に前向きな意向を示すなど、渋谷区の同性婚条例の成立は、他の自治体にも影響を与えている。このままでは、国と自治体あるいは自治体間で夫婦の概念が違うという制度混乱が拡大してしまう。これを機に国のレベルで結婚や家族とは何かを問い直し、同性婚条例が他の自治体に広がらないようにすべきである。

 渋谷区議会本会議の採決結果は、自民党区議7人、無所属3人が反対した。賛成は共産、公明、民主各党など21人だった。

 わが国の憲法は、婚姻を男女に限定している。一部の左翼的な学者や政治家の間には、同性婚を禁じていないとする解釈があるが、それは少数派だ。もし渋谷区の条例のように、同性カップルも夫婦と認めるなら、憲法改正が必要というのが定説である。

 また、条例案は区民に非公開とされ、区民の意見を聞くパブリック・コメントも行われないまま突然、区議会に提出されるという異例の事態が重なった。憲法違反や民主主義のルール違反については敏感に反応する政党の区議会議員が、採決で反対しなかったのは不思議でならない。性的少数者の人権や多様性を尊重する社会の実現という美名に目が奪われ、行政の独断にブレーキを掛ける責務を放棄したとも言える。

 また、戦後社会の風潮も、区議が判断を誤った一因として考えられる。戦前の家制度の否定から、個人の権利と自由の重視に偏りすぎて、社会の未来を左右する家族の価値を軽視し、結婚・家族制度は何のためにあるのかを深く考えないできたのではないか。

 婚姻の本質的な目的は、生まれてくる子供の身分の安定、福祉である。それを自覚していれば、同性カップルを夫婦同等とする条例を成立させることはなかったはずである。

文科省は重大な関心を

 条例の施行によって、今後さまざまな分野で混乱が起こるだろう。まず懸念されるのは、学校現場での恣意的な教育だ。

 条例は性的少数者の人権を尊重する社会を推進するため、「学校教育、生涯学習その他の教育の場において、性的少数者に対する理解を深め、当事者に対する具体的な対応を行う」と謳(うた)っている。

 このため、渋谷区では男女の結婚も同性婚も同価値として教えるようになる可能性が高い。文部科学省は学習指導要領を逸脱した偏向教育が行われないよう重大な関心を払うべきだ。

(4月3日付社説)