連休明け国会 安保体制確立へ論戦を期待


 大型連休も終わり、国民もゆっくり骨休みすることができた。さあ仕事に復帰する番だ。元気溌剌、腕が鳴る。こんな調子で仕事に向かえば大型連休の効果があったというわけになる。

 しかし正直なところ、大型連休のプラス面よりマイナス面ばかりが目に付く。つまり連休疲れがドッと出て、まだ本調子を取り戻してはいない。連休続きで遊び過ぎたため、身体も心もすっかりたるんでしまった。

 永田町もその例にもれない。連休を待ちかねたように閣僚の半分が海外旅行に飛び出した。勇将の下に弱卒はいない。与野党の誰も彼もが海外出張を決め込んだ。皮肉を言わせて貰えば、永田町は空っぽになり、海外の日本大使館や領事館は胸にバッジを輝かせた先生方で満員となる騒ぎだ。

 しかし、いかに議員さまでも、外国まで出かければ遊んでばかりはいられない。なにがしか議員らしい仕事をしてくる。これが議員外交だ。チリも積もれば山となる。外国に対しては日本売り込みの一助になり、いつも内向きで元気のない外務省に発破をかけることもできる。

 その中でも、一番華々しく効果があったのは安倍外交の展開だ。安倍首相は政府専用機を使ってアジア、ヨーロッパの各国を飛び回った。口先だけの外交辞令と違って、一国の首相の訪問はそれだけの値打ちがある。相手方は歓迎を惜しまないし、いままで発言力も弱く、存在感も薄かった日本外交が俄かに世界から注目されてきたのは確かに安倍首相の手柄だ。

 経済の上での日本の実力は等しく各国の認めるところだ。それに外交力が加わると、世界における日本の立場がそれだけ上昇する。歓迎すべき現象といわなくてはならない。

 しかし旧態依然なのは安全保障の上での日本の非力だ。相も変わらずアメリカにおんぶに抱っこのままでいる。これではやっぱり各国から足元を見られてしまう。日本が独立国として恥ずかしくない安全保障体制を確立し、かつそれを実行に移すのが安倍内閣の使命だ。安倍首相はそのために総理大臣になったのと違うか。

 いよいよ今週あたりから永田町は忙しくなる。連休で大いに羽を伸ばした。そこで蓄積されたエネルギーの使いどころがこの夏から秋にかけての永田町の政局だ。「遊びは終わった。さあ働こう」の本番を迎えるわけだ。

 「遊ぶ時は遊ぶ。しかし働く時は働く」。それでこそ大型連休の意味がある。会期末まで残された40日余りの論戦が楽しみだ。

(I)