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党利党略排し参院選挙制度の改革進めよ


 与野党でつくる参院選挙制度協議会の脇雅史座長(自民党参院幹事長)が、選挙区の「1票の格差」を是正する抜本改革案を提示した。

 選挙制度についての議論は、どうしても党利党略が絡んでくる。改革を進めるには、政治家一人ひとりが大局的な視点に立つことが求められよう。

 「合区」が柱の座長案

 改革案は都道府県単位の47選挙区のうち、隣り合う22の選挙区を「合区」し、全体の選挙区を36にするのが柱だ。これで格差が1・83倍になり、違憲の目安となる2倍を下回る。

 統合されるのは人口が少ない選挙区が中心で、特に「石川・福井」「鳥取・島根」「徳島・高知」は改選数が1となる。このため、人口の少ない方の県は候補者を出せなくなることも予想される。

 比例代表については、届け出名簿に順位を記載しない現行の「非拘束名簿式」と、あらかじめ順位を決める「拘束名簿式」のどちらかを政党が選択できるようにした。合区による調整で出馬できなくなった候補者を上位に処遇する狙いだ。

 それでも合区対象の選挙区の議員からは反発する声が出ている。脇氏は5月末までに改革案への賛否を決めるよう各党に求めた。今国会中に合意を得て、秋の臨時国会で公職選挙法の改正を目指す考えだが、意見集約は難航するとみられる。

 参院の選挙制度改革に関する各党の対応にはばらつきがある。自民党は独自案を持たず、民主党は議論に着手したばかりだ。公明党は比例を廃止して全国を11ブロック程度に分ける大選挙区制の導入を提唱。社民党は比例を維持し、選挙区を11ブロックに再編する案をまとめている。

 最高裁は格差が最大5・00倍だった2010年の参院選について「違憲状態」との判断を示した。最大4・77倍だった昨年の参院選も、全国の高裁で「違憲・無効」「違憲」「違憲状態」などの判決が下されている。

 もっとも、格差拡大の大きな原因は都市への人口集中だ。仮に今回の案に沿った制度改革が行われた場合、地方からの人口流出がさらに進めば合区となる選挙区が増え、地方の民意が伝わりにくくなることも考えられる。その意味では、何のための格差是正かということも問われよう。

 さらに選挙制度を考える上で重要なのは、二院制の在り方についてのビジョンだ。参院に関しては「衆院のカーボンコピー化」が指摘されて久しい。

 かつて参院は無所属議員が多かったが、今では衆院と同じように政党間の対立が目立つ。選挙制度も、かつては衆院の中選挙区制に対し、参院は全国区と地方区に分ける制度だった。だが、現在では両院とも選挙区と比例代表を組み合わせたものとなっている。

 参院の独自性が失われた結果、日本維新の会のように衆参両院の合併による一院制を唱える政党もある。

 問われる二院制の在り方

 衆院と参院の役割分担など、二院制のあるべきビジョンを描くことが、参院の選挙制度改革にも反映されるはずだ。

(4月27日付社説)