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安倍首相は重要政策実現へ明確な道筋を


 平成26年度予算が成立し、国会は後半戦に突入した。景気の回復、集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈の変更、教育改革など、多くの課題が前途に山積している。安倍晋三首相はこれらの重要諸課題の解決に向けて明確な道筋を付けるよう指導力を発揮してもらいたい。

 焦らず議論を深めたい

 安倍首相が予算成立後の記者会見で「最重要政策」と強調したのは「強い経済を取り戻す」ことだ。「景気の好循環が明らかに生まれ始めた」とアベノミクスの成果をアピールした首相だが、4月1日からの消費税率8%への引き上げにより回復基調が弱まろう。対応を誤れば政権基盤がぐらつく事態にも陥りかねない。それにどう手を打つのか。悪影響を最小限に抑えるには需要の落ち込みが見込まれる4~9月のどこかのタイミングで適正規模の財政出動を前倒しして景気の下支えをする必要があろう。

 また、6月に改定する成長戦略と「骨太の方針」の中身にも注目したい。首相は法人税実効税率の引き下げを図りたい意向だが、自民党税制調査会は財政健全化の立場から慎重な姿勢を崩さない。国際的なビジネス環境をより良くするために引き下げは必要だが具体案を取りまとめられるのか。

 集団的自衛権の問題には最低限、行使を可能にするための道筋を付けねばならない。軍事力を増強させ、我が国の尖閣諸島周辺海域の領海侵犯を頻発させる中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の不穏な動きを踏まえれば、いつまでも神学論争を続けているわけにはいかないはずだ。

 首相は、4月にも公表される有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告書を受けて与党協議を進めるとともに自民党内に総裁直属機関を設置し、石破茂幹事長を中心に議論を行う。その上で閣議決定し、国会での与野党論議を活発化させ行使を可能にするための自衛隊法改正案などの関連法案を臨時国会に提出したい考えだ。

 その際、留意すべきは「行使の歯止め」について明確にすることである。岡田克也前副総理は衆院予算委員会で「集団的自衛権を行使する。もし、これを認めるということになれば、海外において我が国が武力行使することに当然、道を開くことになる」と述べた。しかし、自衛隊がいきなり海外に出て行って、どこかの国を攻撃するわけではない。アフガニスタンや米国本土で自衛隊が軍事力を使用するわけでもない。日本の安全に重大な影響があり得る事態に対処するために行使するというのが前提である。反対のための反対は避け、焦ることなくじっくり議論を深めてもらいたい。

 山積する懸案に全力で

 他にも、オバマ米大統領の来日による環太平洋連携協定(TPP)交渉の激化、北朝鮮による拉致問題の前進、韓国との関係改善などの外交課題や国民投票法改正案の見直し、原発再稼働、教育委員会改革などが山積している。時間が足らなければ6月22日までの会期の延長も念頭に置きつつ、懸案解決に向け全力で取り組まねばならない。

(3月25日付社説)