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対案出せない野党 民主はもっと覇気示せ


 永田町で敵味方といえば与野党の敵対関係を指す。与党と野党は仇同士だ。何から何まで意見を異にする。と世間では思われ勝ちだが、実はさに非ずだ。

 永田町の敵味方ほどアテにならないものはない。表ではハデにケンカをしながら、ウラではちゃっかり手を握っている。

 永田町で与野党対立をそのまま受け取るのは素人の証拠だ。敵味方に分かれて、チャンチャンバラバラを繰り広げている本人同士もそのあたりはちゃんと心得ている。だからほとぼりがさめると、手を握るのをいささかも躊躇しない。

 ところが今の永田町は、そんなケンカすら演出できなくなってしまった。

 例えば今、自民党と民主党が睨み合っている。首相補佐官やNHK経営委員など安倍首相に近い人物の“問題発言”を取り上げて民主党が国会で攻め込んでいる。とはいっても、迫力不足の感は否めない。かつてなら、即座に審議拒否につながりそうな発言が出ても野党側が攻めきれない。首相の考えに共鳴す る野党議員の発言も多い。

 与野党が明確な将来のビジョンと政策を鮮明にして激突してこそ永田町は存在感を示す。その情熱が高じて腕ずくの乱闘にまで発展しても国民は満足 する。

 国会審議が粛々として進み、本会議や委員会が着々と成果を上げるのは、民主政治の理想だ。

 しかしその前提には、国の将来をかけた政策と政策 の真剣勝負がなければならない。安倍政権の政策に対案も出せない野党ばかりになってしまえば、政権のおごりを助長し、長期的に日本を針路を誤らせ かねない。

 民主党の海江田代表は先週、安倍政権が推進する集団的自衛権行使に向けた憲法解釈変更に対抗するため、3月中に中間的な見解を取りまとめ、6月 22日の今国会会期末までに対案を策定する意向を示した。今国会の主要な争点の一つについて「会期末までに対案」とは、なんと悠長なことか。

 海江田氏はその後、国会の論戦を通して安倍政権を正していくと、攻撃的な姿勢を見せてはいるが、党内すらまとめきれないのでは、その矛先が鈍る のは当然だ。本来なら、もうとっくの昔に「海江田下ろし」が起こってもいいはずだが、今の民主党にはその元気もない。

 民主党は国民の信頼を失ったとはいっても、押しも押されもせぬ野党第1党だ。日本のため、もっと覇気をもってもらわなくては困る。

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