自公連合の行方 両党の間に隙間風も


 日本中どこを見回しても元気がない。特に政界を眺めると元気のかけらも見当たらない。もちろんいろいろ原因はあるが、政権を狙う野党第一党が事実上存在しないのが、永田町が不元気である最大の原因のひとつだ。野党の不活発は永田町の堕落だ。

 ところで自民党政権はそれほど強大なのかと聞けば、決して強大ではないといえる。針の先で一刺しすればたちまちブッ倒れそうな弱さを持っている。数の上からいえば与党が断然有利だ。全野党が結束しても与党に及ばない。ひと押ししてもすぐ押し返される。マゴマゴしていると野党の方がバラバラになりそうだ。

 与党は過半数を支配している。野党から見れば巨大与党だ。しかし自社対立の昔から数の上で野党が与党を圧倒したことは滅多にない。少数の野党が多数の与党を揺さぶったのだ。それは野党のチエと奇策による。つまり野党の作戦勝ちだ。但しいまの野党はそのチエも奇策もない。ただ与党の数に押されてアップアップしているだけだ。

 戦後の自社対立は、少数の社会党が、多数の自民党の鼻づらを引きずり回した。「多数を握っていながらなぜ?」これは当時の自民党のすべての人々の疑問だった。しかし嘆くには及ばない。チエと奇策が足りなかっただけだ。

 いまでも自民党の古参組が昔話を始めると、当時の社会党にさんざんやられた話に花が咲く。自民党の無念が察せられる本音だ。いま自民党が政権を握っている。押しも押されもしない永田町の主人公だ。

 その主人公が頭の上がらない友党がある。いわずと知れた公明党だ。自民党がいかに苦労しているかは知る人ぞ知るだ。

 自民党は単独で衆院の過半数を制している。だが、これまでの選挙協力関係や参院対策上、公明党には辞を低くして援助を求めている。それでも現在は、公明党と手を握った分だけ自民党政権が安定していることは確かだ。しかし、公明党の眼前に「責任野党」と称されるみんなの党と維新の会が現れてきた。政策遂行上、遠からず公明党がお荷物になる可能性は否定できない。

 永田町の離合集散の話は長い。しかし一向に実行に移されない。きっかけがないからだ。しかし自公連合がご破算になると流れがガラリと変わる。今年はまだ新年が終わったばかりだ。たっぷり時間が残っている。この春から夏にかけて具体的に動き出すに違いない。今年の永田町も忙しくなりそうだ。ヤレヤレと言いたくなる。

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