共産党の国力衰退させる運動に警戒


 日本共産党の第26回党大会がきょう、静岡県熱海市の会場で始まる。昨年の東京都議選、参院選で議席が増えたことから、安倍政権や日米同盟、経済界などへの批判を強めて政権与党の自民党と対決する構えを見せている。

 だが、共産党の打ち出す政策の多くは日本の国力を衰退させるものだ。

都議選・参院選で議席増

 今回の大会決議案では安倍政権との対決姿勢が強調され、米国や経済界への批判にも力を入れている。日米安保条約廃棄の訴えを強化したことから日米同盟の弱体化を狙い、歴史問題では日韓離反、日中関係悪化を誘う運動に拍車が掛かろう。

 特に昨年12月に臨時国会で成立した特定秘密保護法、そして憲法改正や集団的自衛権行使を認めないとの主張が「平和」「反戦」などの美名の下に繰り返されよう。

 このため沖縄県・尖閣諸島問題などを軽視し、在日米軍基地へのオスプレイ配備、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対し、原発再稼働などの政府方針への反発も一層強まるに違いない。しかし、いずれもわが国の安全保障体制強化のために必要なものである。

 共産党が党大会を開くのは2010年1月以来4年ぶりだ。前回大会の前年には日米両国で政権が交代し、日本では民主党中心の鳩山政権、米国では米民主党のオバマ政権が発足した。大会決議ではオバマ大統領の核廃絶演説を「歓迎」し、国内の「過渡的な情勢」において「建設的な野党」という立ち位置を確認した。

 しかし、選挙では共産党に無党派層などの反自民票は流れず党勢は退潮の一途をたどった。また、民主党が政権運営に行き詰まっても、政権批判票は自民党、あるいは日本維新の会などの第三極に集まり、一昨年の衆院選まで敗退が続いた。

 共産党が党勢回復に意を強くしたのは、昨年6月の都議選で議席数を8から17に増やしてからだ。民主党が惨敗した一昨年の衆院選で批判票を吸収し躍進した日本維新の会が、共同代表である橋下徹大阪市長の失言で勢いが止まった。

 続く7月の参院選でも、第三極の集票力が衆院選の時より衰えた。自民党が勝利して衆参ねじれを解消する一方、共産党は東京、大阪など都市部で議席を回復した。

 このため、今回の大会決議案では「『二大政党づくり』の動きが破綻し」「『第三極』の動きがすたれつつある」と述べ、共産党が自民党批判の「受け皿」になったとしている。

 また、党勢拡大のためにも「自共対決」の構図を浮かび上がらせようと運動を活発化する構えだ。安倍政権は経済界に賃上げを要請しているものの、春闘で共産党系労組が闘争を激化させる可能性もある。

 首相は堅実な政権運営を

 しかし、我が国の国力の向上なくして経済の再生も賃上げもかなわない。これにマイナスとなる共産党の党勢拡大には警戒が必要である。

 安倍晋三首相は付け入る隙を与えない堅実な政権運営を心掛けていくべきだ。

(1月15日付社説)