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西日本豪雨被災地 「人手が足りない!」


西日本豪雨被災地・岡山県倉敷市真備町ルポ

片付けても、片付けても…終わらぬ作業

 西日本豪雨で大きな被害を出した岡山県倉敷市真備町。現在、建物などの安全性が確認された所から、被災者や自衛隊、ボランティアの人たちによって片付けや復興作業が行われている。「人手が足りない」と途方に暮れる住民たちは少なくない。
(社会部・石井孝秀、写真も)

交通渋滞、ごみ回収、感染症 問題も山積み
足する暑さ対策用品

 真備町では大雨から一転、晴天が続いており、水が引いた後の町は一面砂だらけ。地面を踏むと、海岸の砂浜を思わせるようなさらさらとした感触がし、車の通るたびに舞い上がった砂が道行く人たちへ襲い掛かってくる。時計店の片付けをしていた女性は「土ぼこりの中に農薬や汚物などが混ざってないか心配だ」と衛生上の不安を口にした。

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片付けを手伝うボランティアの若者たち=14日午前、倉敷市真備町

 雨が降れば、今度は土砂がぬかるんで道が泥沼のようになり、歩行さえ難しい。そんな中、ある家の玄関に「全員無事です」という紙が貼ってあるのを見つけ、ほっとした気持ちにさせられた。

 週末の14日には「和歌山」や「静岡」など県外のナンバープレートを見掛けることが多くなった。ボランティアの人たちだ。テレビを見て居ても立ってもいられなくなり、兵庫県から来たという丸尾親史さん(42)。早速、被災者の家の掃除を行ったが、「想像を絶する世界。家はかろうじて立っているという感じ。中はカビがたくさん生えていて腐乱臭がすごかった」。

 水を含んだ畳はとても重く、大人4人でも持ち上がらない。午前中の活動で部屋一つを片付けられるかどうかというペースに、丸尾さんは「人数が全然足りない」と訴える。

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家財道具が滅茶苦茶になった家の中を見せる小田博士さん=12日午前、倉敷市真備町

 被災者の小田博士さん(74)もいら立ちをあらわにする。避難してから家に戻ってみると、屋根の上にはタイヤ、庭には犬小屋が流れてきているのを見つけて呆然(ぼうぜん)とした。「一日ずっと掃除しても、やっと庭が片付く程度。電気工具は水没してしまい、全然作業が進まない」と小田さんは嘆く。

 まとめたごみの回収もなかなか進まない。数日前のごみがいまだに回収されないこともあり、町全体の災害ごみ処理となると、気が遠くなるほどだ。「トラックの数が足りないのでは」という声を町で何度も聞いた。

 数をそろえるだけでは解決しない問題も山積みだ。通行止めや信号機の不調などで交通渋滞が町の内外で起きている。普通なら1~2分で行ける距離でも10~20分かかるほどで、ボランティアが増えれば増えるほど渋滞はひどくなってしまう傾向にある。

 倉敷市に開設された災害ボランティアセンターのスタッフは「熱意があっても交通渋滞に巻き込まれてしまうと、時間だけが過ぎてしまう」と口惜しそうに語る。

 さらに連日の暑さは熱中症の危険を高めている。ボートで家から避難したという浅野智子さん(41)は「食料品は十分あるが、暑さ対策の帽子や冷却シートなどがもっと必要だ」と指摘する。避難所で暮らす山根周二さん(52)は家の片付けに行く際、早めに出掛け早めに帰るよう心掛けている。「(避難が)長引くのは間違いないので、無理しないようにしている」という。

 感染症や事故、熱中症などの二次災害が最小限に食い止められることを願うばかりだ。