JAXA、はやぶさ2の「地球スイングバイ」を実施


小惑星「りゅうぐう」へ加速、主要機器や姿勢は正常

JAXA、はやぶさ2の「地球スイングバイ」を実施

はやぶさ2がスイングバイを終え、通信回復が確認されたのを受けて管制室で喜ぶ宇宙航空研究開発機構(JAXA)の津田雄一プロジェクトマネジャー(中央)ら=3日午後7時29分、相模原市中央区のJAXA宇宙科学研究所(JAXA提供)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3日夜、昨年12月に鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」を、地球の重力を利用して加速させ、目的地の小惑星「りゅうぐう」に向かう軌道に乗せる「地球スイングバイ」を実施した。

 JAXAによると、はやぶさ2との通信で、主要機器や姿勢は正常と確認された。1週間ほどかけて正確な位置と精度を測定し、予定通りの軌道に乗ったかを確認する。問題がなければ来年4月からイオンエンジンを使った航行を始め、2018年6~7月ごろの小惑星到着を目指す。帰還は20年末の予定。

 プロジェクトマネジャーを務めるJAXAの津田雄一准教授は「スイングバイ後のはやぶさ2は元気そのもの。一つのヤマ場を越えたが、これから一路りゅうぐうを目指して挑戦の航行を進める」とのコメントを出した。

 はやぶさ2は、ちょうど1年前の昨年12月3日、H2Aロケットで打ち上げられた。イオンエンジンの動作確認や化学エンジンを使った軌道の微修正を行いながら、地球の公転軌道と並走するように飛行し、再び地球に近づいていた。

 3日午後7時8分、米ハワイ島上空の高度約3090キロまで最接近。はやぶさ2は地球の重力を利用し、秒速30・3キロから同31・9キロに加速すると同時に軌道を大きく曲げた。

 スイングバイは燃料を使わずに加減速と軌道変更ができ、宇宙探査に必須の技術。日本では初代「はやぶさ」などで実績がある。津田准教授は「イオンエンジンでこの加速を実現するには、全力運転で約1年必要。燃料も6割増しになる」と話している。