台湾近現代史をアニメ動画「台湾BAR」で


ユーモア交えネットで人気、日本語版の制作も予定

台湾近現代史をアニメ動画「台湾BAR」で

アニメ動画「台湾BAR(バー)」を制作した謝政豪さん=4月29日、台北市(時事)

 台湾の若者が制作した台湾近現代史を紹介するアニメ動画「台湾BAR(バー)」がネットで人気を呼んでいる。日本統治、国民党一党支配、民主化を経て、現在に至る約100年の歩みを若者の視点からユーモアを交えて描いた。動画サイト「ユーチューブ」で600万回以上再生された。

 動画には、かわいらしい動物のキャラクターとともに、台湾総督を務めた樺山(かばやま)資紀(すけのり)、児玉源太郎や蒋介石元総統ら歴史上の人物が登場。軽快な音楽が流れる中、ジョークを交えた早口のナレーションで近現代史の要点を分かりやすく解説している。日本アニメの影響も随所にうかがえ、一部場面では日本語が使われている。1話の放映時間は約10分で、6月に公開する第8話で完結する。

 再生回数が最も多いのは、中国大陸から渡ってきた国民党政権が本省人(台湾出身者)を武力弾圧した、1947年2月の「二・二八事件」を取り上げた第5話。一部から「加害者である国民党の存在を隠している」といった批判を浴び、その歴史観をめぐって物議を醸した。

 制作した謝政豪さん(24)ら4人はいずれも87年の戒厳令解除後に生まれ、学校で「台湾史」を学んだ世代。謝さんは「賛否はあるが、議論の材料を提供することが目的だ」と述べ、台湾バーをきっかけに歴史論争が盛り上がることを期待している。

 台湾バーの人気は、ネットや口コミで広がり、一部の小中学校では歴史の教材として使われている。4月には最大野党・民進党の蔡英文主席が自身のフェイスブックで紹介して話題となった。閲覧数の3分の1を米国と日本が占めており、英語版、日本語版も制作、公開する計画を進めている。(台北時事)