御嶽山噴火の遺族会「山びこの会」が発足


6府県から15家族が集まり松本市で発足式、火山防災で提言も

御嶽山噴火の遺族会「山びこの会」が発足

遺族会「山びこの会」の発足式であいさつする発起人の伊藤ひろ美さん(中央)。その右は姉のシャーロック英子さん=19日午後、松本市(代表撮影)

 57人が死亡し戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野、岐阜県境)噴火で、初の遺族会となる「山びこの会」が19日、発足した。長野県松本市であった発足式には6府県から15家族32人が集まり、犠牲者に黙とうをささげ、自己紹介や近況報告などを行った。入会者は22家族で、今後も会合を定期的に開き、慰霊行事を検討し火山防災について提言する。  会の発起人は、亡くなった伊藤保男さん=当時(54)=の妻ひろ美さん(53)=長野県東御市=と、ひろ美さんの姉シャーロック英子さん(56)=東京都=。ひろ美さんは発足式の冒頭、「57人の死を無にしないよう強く生き、しっかり慰霊していきたい。みなさんと交流を持ち、お互い力になれればうれしい」とあいさつした。会合はその後非公開で行われた。

 2人は終了後に会見し、ひろ美さんは「1人が泣きだすと、みんなが涙ぐんでいた。まだ悲しみは深いが、笑い声が上がることもあり、集まってよかった」と語った。事務局代表に就いた英子さんによると、遺品となった噴火当日の写真を見せ合う時間もあり、他人の写真の中に自分の家族の姿を熱心に捜す遺族が多かったという。

 会の設立趣旨には、情報交換や慰霊などに加え、火山防災の検証や提言も入れた。英子さんは「防災体制の脆弱(ぜいじゃく)なところが今回出てしまった。山の安全をしっかり確認することが慰霊になる」と説明した。