大坂選手全豪V、「1強時代」も夢ではない


 テニスの全豪オープンの女子シングルス決勝で大坂なおみ選手が日本選手として初優勝を果たし、きょう発表予定の世界ランキングでアジア勢初の1位に就くことが決まった。

 日本テニス界の歴史に新たな1ページを加えたと言える。偉業を心からたたえたい。

四大大会連勝の快挙

 ペトラ・クビトバ選手(チェコ)との決勝戦では、第1セットを先取したものの、第2セットは5-3からのリターンゲームで3連続のマッチポイントを取り切れずに5-7と逆転された。しかし、うまく気持ちを切り替えて第3セットは安定したプレーで逃げ切った。

 大会前に「メンタリティーは3歳」と自分で語ったように、試合でうまくいかなくなると泣き出したり、ラケットを放り出したりと自制が利かなくなるのが課題だった。

 だが、短期間のうちに驚くほど精神面がたくましくなっていた。決勝から一夜明け、日本の報道陣の取材に応じた大坂選手は、大会で学んだこととして「どんな状況でも最大限の努力をすれば、チャンスをつかめること」を挙げた。

 大坂選手を指導するサーシャ・バイン・コーチは「1度の成功で満足する人と、より多くを求める人がいる。なおみは次を求める数少ないタイプの人」と話している。精神面の弱さを克服できたのは、こうした向上心の強さのゆえだろう。

 大坂選手にとって全豪優勝は、四大大会のシングルスでは、男女を通じ日本勢初制覇となった全米オープンに続く2勝目。女子で四大大会の連勝は、2014年全米から15年ウィンブルドン選手権まで4連勝したセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)以来となる。四大大会初優勝から連勝したのは、01年全豪と全仏オープンを制したジェニファー・カプリアティ選手(米国)以来の快挙となった。

 大坂選手は「全米のときはサプライズだったけど、今回は自信を持って戦えた」と振り返った。ハイチ出身の父、レオナルドさんも「2回目の方が自分の力を証明できたと思う」と話している。

 全米と全豪は大坂選手が「最も快適にプレーできる」というハードコートだが、赤土の全仏や芝のウィンブルドンでも力を発揮できれば、四大大会の連勝数をさらに伸ばすこともできよう。来年の東京五輪で日本代表としてメダルを獲得することも十分に期待できる。

 17~18年は四大大会の優勝者が全て異なる選手だった。女子テニス界では、かつてのセリーナ選手のような抜きんでた選手がいない状況だ。21歳の大坂選手は、さらなる成長を遂げることもできよう。このまま「1強時代」が到来することも夢ではない。

ユーモラスな「なおみ節」

 大坂選手は「なおみ節」と呼ばれる話しぶりもあって人気を集めた。ユーモラスな回答で会場を沸かせるコート上のインタビューは、ファンの大きな楽しみとなっている。

 世界女王にふさわしい、華のある選手である。これからも力強いプレーで、さらなる高みを目指してほしい。