御代替わり、感謝と喜びで新時代迎えよう


 天皇陛下が退位され、皇太子殿下が皇位を継承される御代替わりの年を迎えた。国家の象徴として天皇を戴(いただ)く日本国民にとって、大きな歴史的転換の年である。御代替わりがつつがなくなされ、感謝と喜びの念をもって新天皇、新元号のもと新たな時代を迎えていきたい。

平和維持した平成の御代

 天皇陛下は30年間、全身全霊を込められて象徴としてのお務めを果たしてこられた。戦争の犠牲となった戦没者の慰霊に海外にまで足を運ばれ、災害が起きるたびに被災地で被災者を慰められ、復旧復興に当たる人々を励ましてこられた。

 平成の御代を振り返る時、天皇皇后両陛下のお言葉に癒やされ、励まされ、勇気づけられたことを思い出す。不況などさまざまな問題も表面化したが、天皇陛下が「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵(あんど)しています」と述べられたように、世界各地で民族・宗教紛争が勃発する中、日本は平和を維持できた。その背景に、戦争の惨禍を知られる陛下のお祈りがあったことを忘れてはならないだろう。

 日本には海外から多くの観光客が訪れるようになり、その数は昨年、3000万人を突破した。文化的にも豊かな国としての国際イメージが定着した。

 安倍晋三首相は年頭の記者会見で、新元号を4月1日に発表すると表明した。新元号に改める政令を同日中に閣議決定して公布し、皇太子殿下が新天皇に即位される5月1日に改元することも発表された。

 新元号を改元1カ月前に公表するのは、国民生活への影響を最小限にとどめるためだ。公布ではなく内定にとどめよとの保守派の意見もあったが、首相は「歴史的な皇位継承を国民がこぞって、ことほぐことができるよう政府として準備に全力を尽くしていく」と述べている。国民と共に歩む皇室がわが国のかたちであることを考えると、やむを得ないと言えよう。

 だが、歴史の中で育まれてきた皇室の伝統はしっかりと継承されなければならない。共産党などは、皇位の象徴である三種の神器を皇位継承者が受け継がれる「剣璽等承継の儀」を政教分離に違反するとして、国事行為とすることに反対している。

剣璽等承継の儀、高御座(たかみくら)に登られての「即位の礼」そして「大嘗祭」という新天皇御即位の一連の行事が、国事行為として伝統・古式に則(のっと)って行われることは、皇統と皇室伝統の継承を形で示すものである。

 大嘗祭は新天皇の御即位後初めて行われる新嘗祭であり、皇祖天照大神をお迎えしてお祭りする一世一代の重要な儀式である。一部に、皇室の私的行事であり宗教色が強いとして、公費を充てることに疑問を呈する意見もあった。費用を抑えることは理解できるが、重要な即位儀礼であることを考えると、公費で行うことは当然であろう。

こぞってことほぎたい

 新天皇が即位され、改元が行われること自体、わが国以外にないことだ。先端技術を持つ先進国のわが国で、このようなゆかしい伝統が生きていることを誇りつつ、国民こぞって新しい天皇の御代をことほぎたい。