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外国人就労方針、悪質ブローカー排除の徹底を


 外国人労働者受け入れ拡大のため、出入国管理法が臨時国会で改正されたことを受け、政府は外国人就労の基本方針、分野別運用方針、総合的対応策を発表した。

 新たな在留資格である特定技能1号・2号の受け入れは来年4月から始まる。国会審議では現行の外国人技能実習制度をめぐって悪質ブローカーの存在が問題になった。排除を徹底すべきだ。

 14業種で最大34万人

 方針では今後5年間に、介護や建設、ビルクリーニングなど14業種で最大34万5150人を受け入れるが、技能実習3年を修了したか、あるいは試験に合格した外国人が1号を取得できる。同一業務区分内か技能水準の共通性が確認されている業務区分での転職を認める一方、人手不足の状況に変化が生じた場合は受け入れを停止することもあり得る。

 国会審議では、外国人技能実習生の失踪や、そのほとんどが低賃金に不満を持ったためだったことが問題になった。今年2月に法務省が明らかにしたデータによれば、2013年から5年間で延べ2万6000人の実習生が失踪し、より高い賃金を求めて不法就労するケースが後を絶たない。

 失踪した実習生は同じ出身国の外国人ネットワークを頼りにする事例がほとんどで、より高い賃金の仕事を求めて“転職”してしまう。もともと、外国人技能実習制度は開発国に対する「人づくり」支援を目的に在留資格・技能実習1~3号を付与して企業か監理団体が受け入れるもので、人手不足を埋める労働力を求めたものではない。

 しかし、来日する外国人は出身国で仲介業者に多額の仲介料を借金などで納め、日本で稼いで返済に回さなければならないなどの苦しい事情が浮かび上がった。法務省は11月に失踪した外国人2870人分の聴取票を国会に開示し、送り出す側の国にこのような悪質ブローカーが存在する一方、日本の企業も事前の説明よりも低い給料しか支払わなかった例もあることが浮き彫りになっている。

 出身国で多額の借金を背負った上、日本で低賃金で働かされては生き地獄である。もともと親日的で将来の抱負を持って来日した開発国の若者が、このような境遇で日本を嫌いになってしまうことは悲しい出来事である。欧米で起きている移民問題は対岸の火事ではない。

 総合的対応策では、悪質な仲介業者の排除のため、来年3月までにベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴルの9カ国と政府間文書を作成して情報共有することにしている。外国人労働市場から不正を取り除くべきだ。

きめ細かい対応継続を

 一方、特定技能の在留資格者には日本人と同等以上の賃金が認められる方針であるが、わが国には128万人の外国人が既に働いており、多くは技能実習生や留学生だ。

 事実上、同じ“出稼ぎ”でも在留資格によって収入に格差が出る現象も生じるが、きめ細かい対応の継続で改善する必要がある。