パイロット飲酒、再発防止策に万全を期せ


 日本航空の副操縦士が、英国の基準値を大幅に超えるアルコールが検出されたとして地元警察に拘束されたが、前日に飲酒した影響でパイロットらが乗務できなくなるケースが相次いでいる。

 検査の不正なすり抜けも

 副操縦士はロンドン発羽田行きの便に乗務する予定だった。だが、乗務前日の夜に宿泊先のホテルでワインを瓶2本、ビールを約1・9㍑飲んでおり、呼気検査では1㍑当たり0・93㍉㌘のアルコールが検出された。これは英国の法令で定める基準値の10倍以上だ。

 日航は乗務の12時間前以降の飲酒を禁じているが、副操縦士はこのルールには抵触していなかった。ただ目安の量としてビールは1㍑などと示しており、これを大きく超過したことは看過できない。

 しかも、乗務前の検査を不正にすり抜けた可能性もあるというからあきれる。乗務員を搭乗機などに輸送するバスの中で、運転手が酒の臭いに気付いて発覚したが、そうでなければ乗務を行っていたのではないか。

 副操縦士は計器の確認や機外との通信などを担当する場合が多いとはいえ、操縦を行うこともある。しかし、その資格があるとはとても思えない。副操縦士の拘束で羽田便は約1時間遅れで出発した。

万一、酒に酔ったパイロットの操縦で大事故が起きれば、多くの人命が失われ、取り返しのつかないことになろう。日航は猛省すべきだ。

 国土交通省は航空各社に同様の事案が起きないよう求める文書を出した。日航は再発防止策として、飲酒を禁じる時間を乗務前12時間から24時間に拡大し、高精度のアルコール感知器を海外でも導入する。乗客の安全を守るため、ルールや検査を厳しくするのは当然だろう。

 パイロットの飲酒をめぐるトラブルが生じたのは日航だけではない。全日本空輸のグループ会社ANAウイングス所属の男性機長は、沖縄県石垣市内の飲食店でビールやハイボールなど計6杯を飲み、体調不良で翌日の乗務を交代。同県内を運航する5便に遅れが発生した。全日空グループでも乗務の12時間前以降の飲酒を禁じているが、機長はその時間を超えて飲んでいたという。

 パイロットが酒を飲んだことによる乗務交代で便の遅れが生じたケースは、2017年度が15件、18年度も既に6件発生しているという。深刻な事態だと言わざるを得ない。

 航空法はパイロットや客室乗務員、整備士などが飲酒で正常な業務ができない恐れがある場合、乗務をしてはならないと定めている。

 ただ、アルコール濃度の具体的な基準はない。国交省は米国や英国などを参考に基準値導入を図る考えだ。

 社員教育を強化せよ

 パイロットのほかにも、今年5月には日航の客室乗務員が機内のトイレで酒を飲み、10月には全日空のパリ支店長が自社便で移動中、酒に酔って乗客を負傷させるなどトラブルが続発している。

 航空会社は社員教育も強化すべきだ。