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貴乃花親方退職、相撲協会は不断の改革を


 大相撲の元横綱貴乃花親方が日本相撲協会に退職届を提出した。貴乃花親方は退職を決めた理由に、弟子の貴ノ岩が元横綱日馬富士に暴行された事件への協会の対応をめぐって内閣府へ提出した告発状の内容が事実無根であることを認めるよう求められたことを挙げて「真実を曲げて認めることはできない」と語った。

対立する双方の主張

 協会は7月の理事会で全ての親方が五つある一門のいずれかに所属することを決定。貴乃花親方は、いずれかの一門に所属するためには、告発状が事実無根と認めなければならなかったと主張している。

 認めなければ貴乃花部屋に所属する力士たちは相撲を続けることができなくなるため、貴乃花親方は年寄を引退し、力士たちは継承者である千賀ノ浦部屋に所属先を変更する決断をしたと述べている。

 一方、協会広報部長の芝田山親方(元横綱大乃国)は、こうした事実を否定している。どちらが正しいかはともかく、貴乃花親方側と協会側が互いに不信感を募らせた結果、今回の事態を招いたと言えよう。

 貴乃花親方は暴行事件をきっかけに協会に反発的な言動を繰り返した。巡業部長でありながら、秋巡業中の昨年10月下旬に起きた事件を協会へ報告する義務を怠ったほか、協会の危機管理委員会が要請した貴ノ岩への聴取協力を再三拒んだ。このような姿勢が事態を深刻化させたとして、今年1月には理事を解任され、役員待遇委員に2階級降格した。

 さらに、3月の春場所で欠勤を重ねたほか、弟子の十両貴公俊が支度部屋で付け人の序二段力士に暴力を振るった監督責任などを問われ、委員から年寄へ2階級降格させる懲戒処分を受けた。組織の秩序を乱すような行動が許されないのは当然だ。

 一方、貴乃花親方は現役時代、歴代6位の優勝22度を誇り、「平成の大横綱」と称された。貴乃花親方が相撲界を去ることは、大きな損失だと言えよう。

 今回の件に関して、芝田山親方は提出されたのは引退届で「退職届とすべきで、受理できない」との認識を示している。貴乃花部屋に所属する力士らの千賀ノ浦部屋への転属届も、千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)の署名、押印がないため受理できないとした。

 双方の主張が食い違うため、今回の件でどちらが悪いかということは断言できない。ただ協会の側に貴乃花親方の不信を招く要素があるのだとすれば、改める必要がある。

 かつて相撲界では、時津風部屋の力士傷害致死事件、大麻、野球賭博、八百長などの問題が続発し、2011年春場所は中止に追い込まれた。当時と比べれば相撲界は大きく変わったと言えるが、改革に向けて不断の努力が求められる。

信頼高める組織づくりを

 秋場所では、横綱白鵬が41度目の優勝を全勝で飾り、8場所連続休場明けの横綱稀勢の里も10勝5敗で、来場所以降に向けて復活の足場をつくることができた。信頼を高める組織づくりに努めることが相撲人気の一層の向上につながるはずだ。