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水陸機動団、抑止力高め地域安定に貢献を


 陸上自衛隊の離島防衛の専門部隊「水陸機動団」が、米軍などと相次いで合同演習を実施している。

 水陸機動団の運用を通じて抑止力を高めるとともに地域の安定にも貢献していくべきだ。

米軍と離島奪還訓練も

 水陸機動団は離島が侵攻、占領された場合に奪還作戦の主力となる日本版「海兵隊」で、水陸機動部隊と水陸両用車「AAV7」を運用する戦闘上陸部隊などで編成される。今年3月、相浦駐屯地(長崎県佐世保市)を拠点に2100人態勢で発足した。

 沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、尖閣周辺で領海侵入を繰り返す中国を念頭に置いたものだ。同盟国や友好国との合同演習への参加などで、戦闘能力の着実な向上に努める必要がある。

 水陸機動団は、6月から8月まで米海軍が主催した多国間海上演習「環太平洋合同演習(リムパック)」で、ハワイの米海兵隊基地を中心に海兵隊と水陸両用訓練を行った。リムパックをめぐっては、南シナ海の軍事拠点化を進める中国が招待を取り消されている。

 10月末には、沖縄周辺の海域・区域で実施される日米共同統合演習「キーン・ソード」に臨む予定だ。この演習では、海兵隊と離島奪還訓練を行う。

 ただ、水陸機動団の運用に関しては課題も残されている。防衛省は当初、2018~21年度に水陸機動団を運ぶ輸送機オスプレイ17機を佐賀空港に順次配備する方針だったが、今年2月に佐賀県神埼市で起きた陸自ヘリコプターの墜落事故で地元住民の不安が高まり、18年度中の配備は難しい状況だ。

 このため、18年度に納入される5機は木更津駐屯地(千葉県木更津市)への暫定配備を検討している。だが木更津は相浦駐屯地から1000㌔も離れており、有事の際の即応性に支障が出よう。政府や配備受け入れを表明した佐賀県の山口祥義知事は、佐賀空港へのオスプレイ配備実現に向け、その重要性を地元住民に丁寧に説明しなければならない。

 米国防総省は中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書の中で、中国海軍が20年までに上陸作戦などを担当する陸戦隊(海兵隊)を1万人から3万人以上の規模に拡大させるとの見通しを示した。今後海外での軍事活動を活発化させるとみられており、台湾や尖閣の占拠作戦などを視野に入れている可能性もある。その意味で、水陸機動団の存在意義は大きいと言える。

 習近平指導部は「海洋強国」を掲げ、空母や潜水艦の建造、装備刷新など海軍増強を急いでいる。しかし、南シナ海で見られるような一方的な現状変更を容認することはできない。

中国を強く牽制せよ

 水陸機動団は、現在実施中のフィリピンでの米比共同訓練「カマンダグ」にも参加する。米比との連携を示せば中国への強い牽制(けんせい)になる。

 南シナ海では、海上自衛隊の潜水艦も訓練を行った。水陸機動団をはじめ自衛隊が地域の安定に貢献していくことも求められる。