防災の日、気象変動の脅威に備えよ


 きょうは「防災の日」。9月1日は95年前の1923年に関東大震災が起きた日だ。以来、壊滅的打撃を受けた首都東京の復興とともに、全国的な防災事業は営々と続けられてきた。

 しかし、地球温暖化などの異常気象によって災害の規模が大きくなり、従来の堤防やダムでは十分な防災効果を発揮できない所も出ている。防災施設の充実とともに地域の人々の不断の備えや防災意識が必須だ。

気象パターンが変化

 7月の西日本豪雨では土石流と河川氾濫により229人が犠牲となった。積乱雲が列をなす線状降水帯が想定外の大雨を降らせ、岡山県倉敷市真備町では、1級河川の高梁川の支流の小田川などで堤防が切れ、約700㌶の範囲で浸水した。

 愛媛県の肱川では、国土交通省の野村ダムの放水量が一気に増加したことなどにより、逃げ遅れた5人が亡くなった。また、京都府の桂川は水資源機構の日吉ダムで毎秒約900㌧の放流を始めたため、水位が急上昇し氾濫した。

 これらは想定外の雨量に対応できなかったり、ダムの放流を効果的になし得なかったりした人為的ミスの要素もある。一方で、わが国の気象パターンの変化による影響が大きいと指摘する専門家は少なくない。

 従来、日本では梅雨期に小雨が降り続き、夏から秋にかけて台風が多量の雨を運んでくる。この気象パターンにより、降った雨が山間部の森林に一時たくわえられ、下流域へ流入する量が自然に調節された。

 それが今日、異常気象による降雨量の増加が著しく、表層流として河川に流れる水の量がコントロールされにくくなっている。このことが14年8月の広島土砂災害をはじめ、近年、水害とは無縁に近かった地域でも被害が拡大する傾向にある要因だという。

 政府は来年度予算で、豪雨災害の被害軽減のため、堤防かさ上げなどの対策を柱に据える予定だ。もちろんハード整備は重要だが、これまで造られた各地のダムや堤防などの施設は、従来の気象パターンや地質状況を勘案して生まれたものだ。気候変動を念頭に置いた対策が必要である。ハード対策に時間を要することを考慮し、並行してソフトの充実も欠かせない。

 また、首都圏や大都市圏では豪雨時に地下街への浸水がたびたび発生し死傷者も出るようになった。首都圏で雪が10㌢積もれば、交通機関が麻痺(まひ)しその影響は大きい。まず自分が住む地域にはどんなリスクがあるのか、ハザードマップで確認して身近にある危険を知り、備えることが肝要だ。

火山の活動も活発化

一方、地震、火山活動も、特に東日本大震災以降、明らかに活発化している。この現象は理論上は説明がつかないが、歴史的には、世界各地でマグニチュード9以上の巨大地震が起きた後、火山噴火が発生しているという事実を見てもその関連性は明らかだ。

 いずれ発生する首都直下、東海、東南海、南海地震は最悪の場合、連動する可能性があるということを常に念頭に置く必要がある。