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陸上イージス、ミサイルの脅威対処に不可欠


 政府は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を秋田、山口両県に配備する計画を進めている。
北朝鮮などのミサイルの脅威に対処するために配備は欠かせない。

 2基で日本全土をカバー

 イージス・アショアは、イージス艦が持つ機能のうちミサイル防衛機能に特化した陸上配備型の施設だ。米国が開発したもので、既にルーマニアやポーランドに配備されているが、米軍以外が運用するのは日本が初めてとなる。日米共同開発の新型迎撃ミサイルSM3ブロック2Aが搭載される予定で、2基で日本全土をカバーできる。

 北朝鮮に対する警戒監視活動では、イージス艦が日本海に常時展開する必要がある。陸上イージスを導入すれば、イージス艦乗組員の負担を軽減することもできる。

 防衛省はイージス・アショアに搭載するレーダーについて、米国製の高性能レーダー「LMSSR」を選定した。探知範囲は1000㌔を超え、イージス艦のSPY1レーダーの2倍以上とされる。

 小野寺五典防衛相は「(通常よりミサイルの発射角度を上げ高く打ち上げる)ロフテッド軌道への対応能力や飽和攻撃に対する同時対処能力など、わが国の弾道ミサイル防衛能力は飛躍的に向上する」と強調した。レーダー選定を踏まえ、防衛省は2019年度予算概算要求に陸上イージスの導入費を計上する方針だ。

 ただ、レーダーを含めた陸上イージスの価格は1基当たり約1340億円で、当初想定価格の約6割増。維持・運用経費などを含めると2基で計約4664億円に上る。

 見積もりに甘さがあったことは確かであり、反省すべきことではある。しかし、これで陸上イージスの必要性が低下するわけではないことを、政府は国民に丁寧に説明しなければならない。反発の声が上がっている配備候補地の理解もきちんと得ていく必要がある。

 一方、一部メディアが南北首脳会談や米朝首脳会談などで東アジア情勢が変化しているとして陸上イージスの導入を批判していることは見過ごせない。

 北朝鮮は核・ミサイルを廃棄したわけではない。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の製造を続けているとの指摘もある。北朝鮮から飛来するミサイルへの備えは不可欠だ。

 融和ムードに乗って陸上イージス導入に反対することは間違っている。費用の膨張に関しても、日本の防衛費が国内総生産(GDP)比1%程度であり、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が目標とするGDP比2%よりも割合が小さいことも考慮すべきだ。

北朝鮮のほか、中国やロシアも多くの弾道ミサイルや巡航ミサイルを配備している。将来的には、陸上イージスに巡航ミサイルを迎撃する機能を追加することも求められる。

 敵基地攻撃能力の保有を

 国民を守るには、ミサイル防衛強化を進めるとともに敵のミサイル基地を攻撃する敵基地攻撃能力の保有を検討する必要がある。