五輪まで2年、重要性増す酷暑への対策


 2020年東京五輪の開催まであと2年となった。夏季では56年ぶりに日本で開かれる「平和の祭典」に向け、万全の準備を進める必要がある。

震災復興を示す大会

 東京スカイツリータウンでは東京五輪に向けたカウントダウンイベントが開催された。大会マスコットやアスリートらが登場し、スカイツリーが五輪の5色である青、黒、黄、緑、赤にライトアップされた。

 開催に向けた準備は着々と進行している。メイン会場の新国立競技場は19年11月末の完成予定へ向け、地上工事は4割程度まで進んだ。チケット価格の概要も決まった。

 1964年に開催された前回東京五輪は日本の戦後復興を世界に示した。今回は2011年の東日本大震災から復興した姿をアピールする大会だと言える。五輪開会前の聖火リレーは20年3月から被災地の福島県を出発地に47都道府県を巡る。

 海外から来る多くの選手や観客に復興五輪を楽しんでもらいたい。その意味で、五輪での暑さ対策の重要性が改めて浮き彫りとなっている。今月23日には東京都青梅市で40・8度を観測し、都内で初めて40度以上を記録した。2年後の五輪に向けて猛暑を想定して準備しなければならない。

 競技スケジュールの大枠は既に決定している。屋外競技の多くについて、酷暑を避けるために招致時の計画から開始時間を前倒ししたのは適切な措置だろう。マラソンは午前7時、陸上男子50㌔競歩は6時に繰り上がった。

 東京都はマラソンなどのコースや会場周辺の都道計約136㌔で、赤外線を反射する「遮熱性舗装」や蓄えた水の気化熱で温度を下げる「保水性舗装」を進めている。こうした特殊舗装によって路面温度を8~10度低くできるという。競技や観戦に支障が出ないよう、できる限りの対策を講じてほしい。

 特に、外国人に対しては来日前から東京の暑さに関する情報を提供することが不可欠だ。医療機関の多言語での受け入れ体制も強化する必要がある。

 東京五輪では33競技339種目が行われる。日本の金メダルの獲得目標は30個で「金メダル数世界3位」を掲げる。過去最多は16個であることを考えれば高い目標だが、ナショナルトレーニングセンターや国立スポーツ科学センターの活用などで、12年のロンドン五輪ではメダル総数が38個、16年のリオデジャネイロ五輪では41個と確実に進歩している。

 13年9月に東京五輪開催が決定した後のスポーツ関連予算の増加も選手の強化に大きく寄与したと言える。東京五輪で採用される野球やソフトボールでも金メダルを目指したい。

訓練徹底でテロ防止を

 東京五輪をめぐってはテロ対策も重要だ。東京港周辺の臨海部は競技会場や選手村が集中し、小型船などによるテロが懸念されている。

 13年4月に米ボストン・マラソンで爆弾テロが起きるなど、大規模なスポーツ大会はテロリストに狙われやすい。訓練の徹底でテロ防止に全力を挙げる必要がある。