米露首脳会談、不用意な発言で混乱招くな


 トランプ米大統領がプーチン・ロシア大統領とフィンランドの首都ヘルシンキで会談した。

 会談では、トランプ氏のロシアへの融和姿勢が目立った。だが、2016年米大統領選への介入疑惑などで対立するロシアに不用意な発言をすることは避けなければならない。

 批判浴びたトランプ氏

 終了後の共同記者会見で、トランプ氏は深く建設的な対話を行ったと表明。プーチン氏を「良い競合者」だと述べた。

 会談を前に、米司法当局はロシアによる米大統領選への介入疑惑をめぐってロシアの情報部員12人を起訴。しかし、プーチン氏は会談でロシアの関与を否定した。トランプ氏も米当局による捜査を「災難」と批判。ロシアが介入したと見なす理由はないとも述べた。

 このようなトランプ氏の発言に対し、米国内では党派を超えて批判の声が上がった。与党共和党のマケイン上院議員は「記憶する限り、米大統領による最も恥ずべき行為だ」と非難。結局、トランプ氏は発言の訂正に追い込まれたが、米国内に混乱を招いたことは否めない。

 ロシアは自国の都合で国際秩序を乱すことが多い。14年にはウクライナ南部クリミア半島を併合するなど「力による現状変更」を強行した。さらに中東への影響力を拡大するため、化学兵器で自国民を虐殺したシリアのアサド政権を支援。国連安全保障理事会ではシリア内戦をめぐる決議案に拒否権行使を繰り返し、安保理を機能不全に陥らせている。

 一方、トランプ氏は選挙戦中からロシアやプーチン氏との関係改善を訴え、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦やシリア内戦などでの協力を模索してきた。今回の首脳会談開催もこうした判断に基づくものだ。

 トランプ氏は会談で、米露関係冷却化のきっかけともなったクリミア併合について「併合は違法」と述べた。これに対し、プーチン氏は「国際法にのっとった住民投票が実施された結果で、ロシアにとって終わった問題だ」と正当化した。国際ルールを軽んじるロシアへの融和姿勢が米国や国際社会の利益となるのか疑問だ。

 トランプ氏がプーチン氏との会談の前に行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で同盟国に対する批判をエスカレートさせたことも気掛かりだ。トランプ氏は会議で、加盟国の国防支出不足や貿易不均衡を糾弾した。

 NATO加盟国は14年、ロシアによる脅威の高まりを受け、国防費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げる目標を設定した。だが、18年で目標を達成できるのは加盟29カ国のうち米英など8カ国。期限の24年までに達成の見通しが立っているのも15カ国にとどまる。NATO国防支出の7割弱を負担する米国が、加盟国に支出拡大を要求することは理解できる。

 同盟関係を重視せよ

 しかしトランプ氏のような高圧的な姿勢では、たとえ正論であっても反発を受けよう。

 「法の支配」などの価値観を共有するNATO加盟国との同盟関係を、もっと重要視する必要があるのではないか。