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タイ洞窟、世界が一つになった少年救出


 タイ北部チェンライ県の地元サッカーチーム、ワイルド・ボアーズ所属の11歳から17歳の少年12人と25歳のコーチ1人の13人が、タムルアン洞窟に閉じ込められてから18日目に全員救出された。

 雨水が洞窟をふさぎ外に出られなくなったが、国際的な協力によって困難を極める救出作業を成功させたことを心から称賛したい。

 奇跡的生還果たした13人

 ワイルド・ボアーズの13人は6月23日の練習後、17歳になる選手の誕生日を祝おうとお菓子などを持参して洞窟に入ったという。その日、豪雨が一帯を襲い洞窟は水浸しになった。家族は安否を気遣い、当局が捜索に当たると洞窟の入り口付近で少年らの自転車が発見された。

 洞窟は奥に進むと水没し、暗い水中で通路を探るのは非常に難しく、1週間以上も捜索が続いた。関係者が希望を失いかけていたところ、9日目に2人の英国人ダイバーがついに少年らを発見した。

 人数を尋ね、13人と確認すると「ベリー・グッド」と何度も歓喜を表して「君たちはとても強い子だ」と励ました。複雑な構造の洞窟の中での奇跡的な発見に、心配していた家族らは歓声を上げた。ニュースは世界を駆け巡り、救出への祈りが国境を越えて広がっていった。

 少年らが9日間も無事だったのは、サッカーで鍛えられたチームワークや精神力、そして誕生祝いのために持ち込んだ食べ物をコーチが計画的に配給したことがある。発見当時、コーチは自分が食べるのを控えて子供たちに与えたため最も衰弱していたという。

 長い時間、洞窟で忍耐できたのは、タイで修行を重んじる小乗仏教が盛んなことも背景にあるだろう。その後、物資などを届けに来たダイバーにコーチは少年らの家族に宛てて書いた謝罪の手紙を託した。ただ、現地ではコーチらの責任を追及する声はあまりないという。助け合い、励まし合いの根底には、仏教の信仰心が洞窟の外の家族や関係者と少年らをつないでいたことがあることは疑いない。

 残念なことに、洞窟での救出活動中に元タイ海軍特殊部隊員の38歳のボランティア男性が酸欠死した。仏教寺院で葬儀が行われた際の報道では、男性の父親と妻は、亡くなったのは悲しいが、彼はヒーローとして国民に記憶されると答えた。このように犠牲をいとわず一つになって少年らを救おうとする現地の姿に、世界各国から声援と協力が寄せられた。

 タイのダイバー40人のほか、各国から50人のダイバーが集まり救出に当たった。少年らに酸素マスクを着け水中でダイバーが帯同する救出作業が8日から始まったが、途中には酸素ボンベを背負って通過するのが不可能な狭い箇所があり、ダイバーが少年の空気ボンベを抱えて潜り抜ける困難な作業だった。

 再発防止を徹底せよ

 救出のニュースで世界が歓喜に包まれた。ただ、熱帯モンスーン気候の雨期に洞窟が浸水する危険は予測できたはずだ。ナロンサク県知事は今回の事態を教訓として再発防止を呼び掛けているが、徹底させてほしい。