世界日報 Web版

西日本豪雨、広範囲の災害への対応急げ


 梅雨前線が停滞し活発になった影響で、西日本の広い地域で記録的な大雨となった。

 土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)などで多数の死者や安否不明者が出ている。捜索と救助を急がなければならない。

9府県に特別警報発令

 大雨の原因は、停滞する梅雨前線に向かって南から非常に湿った空気が太平洋高気圧の縁を回るように流れ込み、発達した雨雲が発生し続けたことだ。福岡、大分両県で大きな被害が出た昨年7月の九州北部豪雨では、高気圧の西縁が今回より西だったため、大雨は九州北部に集中した。

 今回は昨年よりも東で、九州から中国、四国、近畿などに大雨をもたらしている。 6日から7日にかけ気象庁が出した特別警報は、福岡、佐賀、長崎、広島、岡山、兵庫、京都、岐阜、鳥取など最大9府県に及んだ。特別警報は「数十年に一度」の数値を超えた場合に発令されるが、9府県は2013年の運用開始以来最多だ。例を見ないほど広い範囲で記録的な大雨が降ったことが分かる。

 大雨による土砂崩れで生き埋めになったり、河川の氾濫で流されたりして亡くなった人もいる。特別警報が発令されなかった四国でも死者が出た。安否不明の人も多い。住宅の横倒しや浸水などの被害も生じている。警察や消防、自衛隊が懸命の捜索活動を行っているが、被害が広範囲のため、救助が追い付いていない地域もあるようだ。

 土砂崩れで全体の3分の1に当たる20棟が全半壊した広島市安芸区の団地では、道路が土砂で埋まって孤立した住民も出ている。体力の低下が懸念されており、人員の増強などで一刻も早く全員を救助しなければならない。広島県では土砂崩れが多発し、物流の拠点となる中国自動車道や山陽自動車道が通行止めになった。

 避難所で過ごしている人も多い。安倍晋三首相は「住民の避難、被災者の生活支援、ライフラインの復旧など広域にわたるさまざま事態に即座に対応してほしい」と指示した。被災者の食料や生活必需品などに不足がないようにしてほしい。

 8日以降は梅雨前線が北上し、前線の活動は弱まる見通しだ。ただ、日本の南方の海上では猛烈な強さの台風8号が北西方向に進んでいる。来週前半には、この台風の影響で西日本が再び大雨に見舞われる恐れがある。今回の大雨で地盤が緩み河川が増水しているため、引き続き警戒が必要だ。

 近年は毎年のように豪雨災害が発生している。14年8月には広島市で局地的豪雨による土砂災害で70人以上が死亡。15年9月には関東地方を中心に降り続いた大雨の影響で、鬼怒川の堤防が茨城県常総市内で決壊した。そして昨年は、九州北部豪雨で40人が亡くなるなど全国各地で被害が出ている。

日ごろからの備えを

 このような災害の発生を日ごろから想定し、身を守るための心構えを持つことが、私たち一人ひとりに求められている。

 具体的には避難先や避難経路をあらかじめ決めておき、食料や常備薬を備蓄するなどの備えを心掛けたい。