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G7サミット、トランプ氏は対立深めるな


 カナダ東部ケベック州で開かれていた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は、2日間の討議を総括した首脳宣言を採択して閉幕した。

 だが、トランプ米大統領は閉幕後に首脳宣言を承認しないよう米代表団に指示。米国と日欧加6カ国の亀裂が表面化した。トランプ氏は対立を深めるべきではない。

首脳宣言を承認せず

 首脳宣言では、北朝鮮に全ての大量破壊兵器の「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄(CVID)」を求めた。安倍晋三首相が討議の中で「制裁解除、圧力緩和のタイミングを見誤ってはならない」と指摘したことは、12日に行われる史上初の米朝首脳会談に臨むトランプ氏への念押しの意味もあろう。

 宣言には拉致問題の早急な解決も盛り込まれた。G7首脳が米朝首脳会談の成功に向け、トランプ氏を後押しすることを確認したことは評価できる。東・南シナ海の現状への懸念を表明したことも、強引な海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)するために重要だ。

 また、米国が核合意から離脱したイランをめぐっては「核計画が今後も平和的であると恒久的に確保することを約束する」と強調した。イランの核武装を許してならないのは当然だ。トランプ氏がサミット復帰を求めたロシアについては、ウクライナ南部クリミア半島の併合を改めて非難。国際平和を守るよう促した。

 一方、焦点の貿易問題をめぐる討議では、「米国第一」を掲げるトランプ政権による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置に欧州各国やカナダが反発。これに対し、トランプ氏は欧州各国なども関税や補助金を採用しているとして反論した。

 G7首脳は文言調整をぎりぎりまで続け、宣言は「自由、公平かつ互恵的な貿易・投資は成長と雇用創出の主要な原動力である」と強調。世界貿易機関(WTO)をより公平な組織に近代化することも求めた。

 しかしトランプ氏は、議長国カナダのトルドー首相が締めくくりの記者会見で、欧州各国やカナダからの鉄鋼製品に対する米国の高関税に報復措置を取る考えを示したことに強く反発。宣言を承認しないよう米代表団に指示した。極めて異例の事態である。

 宣言は当初、取りまとめも危ぶまれていたが、世界経済の安定へG7の協調を優先して採択された。それを覆すことがあってはなるまい。

 G7は民主主義や市場経済という価値観を共有する自由主義世界の屋台骨である。その連携が弱まれば、国際情勢が一層不安定化する恐れもある。深刻な事態だと言わざるを得ない。

安倍首相は結束へ尽力を

 安倍首相はサミット閉幕後の内外記者会見で、自由貿易体制の維持がG7の目標と位置付けた上で「米国もG7の一員として、この価値観をわれわれと共有している」と指摘。「市場をゆがめる不公正な貿易・投資慣行に、G7として断固対抗することで一致した」と述べた。安倍首相はトランプ氏との信頼関係を生かし、G7の結束に向けて尽力すべきだ。