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対北制裁強化、発展には核放棄が不可欠だ


 国連安全保障理事会は北朝鮮への石油精製品の輸出の制限や、海外で働く北朝鮮労働者の送還などを盛り込んだ新たな制裁決議を中国、ロシアを含む全会一致で採択した。

ICBM発射受けた措置

 制裁決議は北朝鮮が先月末、新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したことを受け、米国が提案したもの。今回の決議の目玉は、ガソリンなど石油精製品の北朝鮮への輸出を現在の年間450万バレルから、年間50万バレル以下と90%近く削減することだ。北朝鮮にとっては大きな打撃となろう。

 このほか、北朝鮮が海外に派遣している労働者を原則、全て2年以内に本国に送還するとしている。こうした労働者の収入は、核やミサイル開発の費用として使われていることが懸念されており、本国送還は当然の措置だ。もっとも送還の期限をめぐっては、草案の段階では1年以内とされていたが、北朝鮮の労働者を多く受け入れているロシアの要求が通って2年以内へと修正された。

 さらに決議違反の疑いがある船舶については、国連加盟国の港では拿捕や臨検、差し押さえの義務があるとした。領海内での拿捕(だほ)も認めるとしている。

 残念ながら、今回の決議は北朝鮮への原油の供給停止には踏み込んでいない。全面禁輸は北朝鮮に致命的なダメージを与えよう。決議では「年間400万バレル、もしくは52万5000トン以下に制限する」として初めて数量の上限が明記された。

 だが、この数字は中国から北朝鮮への年間供給量とほぼ同じで、前回9月の決議と同様に現状維持を認める内容となっている。一方、北朝鮮が今後、新たな核実験や長距離ミサイルの発射を強行した場合には「安保理は北朝鮮への石油供給をさらに制限する措置を取る」という表現が明記された。決議で対抗措置の具体的内容に言及するのは初めてだ。北朝鮮の核放棄に向けた国際社会の強い意思を示したものと言えよう。

 この決議について、北朝鮮外務省報道官は「朝鮮半島と地域の平和と安定を破壊する戦争行為だ。全面排撃する」と非難した。しかし核・ミサイル開発で地域の安定を揺るがしているのは北朝鮮の方であり、到底受け入れられない発言だ。

 金正恩政権は核開発と経済再建の「並進路線」を掲げている。だが核開発を進めても、国際社会による締め付けは強まるばかりだ。このままでは、経済を立て直すことなどできまい。北朝鮮の発展には、核放棄が不可欠だという現実を受け入れるしかない。

 制裁の実効性確保は、北朝鮮に大きな影響力を持つ中国やロシアがカギを握る。中国は北朝鮮の体制崩壊で米軍と直接対峙(たいじ)することを避けたいため、制裁に前向きではない。ロシアも北朝鮮問題を米国に対する外交カードにする狙いから協力的とは言えない面がある。

原油全面禁輸への準備も

 しかし中露両国とも安保理常任理事国であり、北朝鮮の暴挙を放置することはできないはずだ。国際社会は、北朝鮮への原油全面禁輸に向けた準備も進める必要がある。