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羽生永世7冠、将棋界第一人者の驚異的記録


 将棋の羽生善治棋聖(47)が竜王戦7番勝負で渡辺明2冠=竜王、棋王=(33)を4勝1敗で下し、竜王位を奪取した。竜王獲得が通算7期となって永世竜王の資格を得たため、7大タイトル全ての永世称号を持つ史上初の永世7冠を達成した。

 「三度目の正直」で達成

 将棋界では、一つの永世称号どころか一つのタイトルを取ることも簡単ではない。七つの永世称号獲得は驚異的な記録だ。30年近くにわたってトップ棋士として将棋界に君臨してきた羽生新竜王だからこそ達成できたと言えよう。

 羽生新竜王は中学3年生だった1985年、加藤一二三・九段(77)、谷川浩司九段(55)に続く3人目の中学生棋士としてプロ入りし、89年に19歳3カ月の最年少記録(当時)で初タイトルの竜王を獲得した。それ以来タイトルを積み重ね、今回の竜王奪取で通算99冠。前人未到の100冠の大台まであと一つと迫った。こちらの達成も待ち望まれる。

 この間、96年には竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖の7大タイトルを独占する史上初の7冠を達成。他の棋士が思い付かない「羽生マジック」と呼ばれる絶妙手で将棋界の第一人者としての地位を揺るぎないものとした。

 先輩の谷川九段や「羽生世代」と言われる同世代の森内俊之九段(47)や佐藤康光九段(48)、そして一回り若い渡辺竜王らとは数々の名勝負でファンを沸かせた。将棋界の発展に寄与した功績は大きい。

 数々の記録を持つ羽生新竜王だが、永世7冠はなかなか達成できなかった。竜王以外の永世6冠は2008年までに獲得していたが、永世7冠を2度にわたって阻んだのは渡辺竜王だ。

 最初は08年に行われた竜王戦7番勝負。羽生4冠(当時)が3連勝し、誰もが永世7冠達成を疑わなかったが、その後まさかの4連敗で敗退した。7番勝負の3連勝4連敗はプロ野球の日本シリーズや囲碁界ではあったが、将棋界ではこの時が初めてだった。10年の竜王戦7番勝負も2勝4敗で敗れた。

 今年は菅井竜也王位(25)、中村太地王座(29)の若手棋士2人に相次いでタイトルを奪われ、年齢的な衰えや世代交代などを指摘する声もあった。今回の竜王戦は、永世7冠達成の「最後のチャンスかもしれない」と思ったという。それだけに「三度目の正直」での達成は喜びもひとしおだろう。

 今年の将棋界では、昨年10月に史上最年少の14歳2カ月でプロとなり、29連勝の新記録を達成した藤井聡太四段(15)が話題を呼んだ。藤井四段はその強さもさることながら、人工知能(AI)を搭載した将棋ソフトの活用で腕を磨いたことでも注目を集めた。

 これからも名勝負を期待

 羽生新竜王は「若くて研究熱心な棋士の棋譜を勉強しないといけない。伝統的な世界だが、盤上はテクノロジーの世界として日進月歩で進んでいる。常にそういう最先端を探求する気持ちでいる」と語った。藤井四段とのタイトル戦を待望する声も上がっている。これからも多くの名勝負を期待したい。