地球温暖化、各国の協力で歯止め掛けよ


 ドイツのボンで開かれた国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)は、2020年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の運用ルールについて、18年の合意を目指して協議を加速させることを盛り込んだ宣言を採択し閉幕した。

米離脱表明後初のCOP

 運用ルールは、18年12月にポーランドで開催予定のCOP24で決定することになっている。今回の会議では、18年中の策定を確実に遂行するため、COP24の開催前に追加会合を開くことで合意した。

 また、世界の平均気温の上昇幅を産業革命前から2度未満に抑えるというパリ協定の目標達成に向けた状況について、18年に対話の場を設けて検証していくことが決まった。20年に国別の温室効果ガス排出量の削減目標の再提出が予定されており、各国の状況を公表することで目標の上積みを促す考えだ。

 今回のCOPは、世界第2位の温室ガス排出国である米国がパリ協定離脱を表明してから初めて開催された。先進国は20年までに官民で年間1000億㌦(約11兆3000億円)を途上国に拠出することが決まっているが、途上国の間では米国の離脱表明で資金が不足するのではとの不安が生じている。先進国は民間企業などの力も借りて確実に支援を行うとともに、米国の協定復帰への働き掛けを強める必要がある。

 一方、日本は存在感を示せず「石炭火力発電の推進国」という点ばかりが注目された。昨年のパリ協定発効で、目標達成に脱石炭火力は避けられないとの見方が強まり、日本が推進する最新の高効率石炭火力でも温暖化対策には不十分とされているからだ。フランスや英国、カナダなど20以上の国や自治体は30年までに石炭火力廃止を目指す連合組織を発足させた。

 日本では東京電力福島第1原発事故を受けて原発が停止する中、石炭火力が増加した。石炭の発電費用は同じ火力燃料の液化天然ガス(LNG)よりも安く、原発と共に安定的に発電できるベースロード電源だ。

 日本は30年までに温室ガスを13年比で26%削減する目標を掲げている。今後、この目標は上積みを迫られよう。達成には、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の再稼働を進める以外にはあるまい。

 先進国に温室ガスの削減目標を課した京都議定書が採択された際、日本はホスト国として重要な役割を果たした。優れた環境技術で世界の温暖化対策に貢献する必要がある。

 米海洋大気局の報告書によれば、昨年は世界の気温が観測史上最も高かった。北極の海氷面積は衛星観測が始まって以来37年間で最小となり、地球の海面の水位は1993年に比べ約8㌢上昇して最も高くなった。先進国と途上国が対立を克服し、各国が協力して温暖化に歯止めを掛けることが急がれる。

中国は実効ある対策を

 中国は米国の離脱表明後、温暖化対策で前向きな姿勢をアピールしている。しかし中国は世界第1位の温室ガス排出国であり、2017年のCO2排出量は大幅増になる見通しだ。実効性ある対策に取り組むべきだ。