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核ミサイル危機、防災を「民間防衛」に高めよ


 戦後、日本は外国からの武力攻撃の危険にさらされたことがない。それが今、北朝鮮による核ミサイル攻撃の脅威に直面している。

 こうした攻撃からどう身を守るのか、その手立てを国民保護法は定めているが、いざという時、うまく避難できるのか、はなはだ心もとない。国民保護の在り方が問われている。

各国では組織を整備

 ミサイル発射があれば、最初にJアラート(全国瞬時警報システム)が作動し、「頑丈な建物や地下に避難してください」との呼び掛けが行われる。だが、この伝達が十分とは言い難い。

 8月末に北朝鮮が日本の方向にミサイルを発射した際、北海道から長野県までの12道県で作動したが、16市町村でその情報が伝わらなかった。警報システムが正常に機能しているのか、厳しく点検すべきだ。

 避難についても課題山積だ。農村部には頑丈な建物や地下はない。大都市でも屋内施設や地下がどこにあるのか、それらが本当に安全なのか、明確な指針がないと烏合の衆になりかねない。防災と同様に日頃の訓練がなければ、国民保護体制は画餅に帰す。

 ところが、ミサイル攻撃を想定した避難訓練を行った自治体は全国で十数市町にとどまっている。なぜ地域の取り組みが弱いのか。それは国民保護法が避難や救援について国民に協力を要請するだけで、応じるかどうかは任意としているからだ。それで地域の組織づくりなどが棚上げにされてきた。これでは国民の不安が募るばかりだ。

 ミサイル危機を契機に防衛と防災をリンクさせた本格的な国民保護体制づくりに取り組む必要がある。海外では多くの国が「民間防衛組織」として整備しており、それを見習いたい。

 ドイツでは内務省に民間防衛局を置き、地域レベルでは民間防衛・災害防護組織をつくり、そこに「核・化学兵器班」を設けてNBC(核・生物・化学)兵器による攻撃に備えている。スイスの民間防衛組織も同様だ。

 スウェーデンは19世紀以来、戦争を行わず中立を保ってきたが、それを可能にしたのは徴兵制を敷き、しかるべき軍事力と民間防衛組織を構築してきたからだ。同組織は第2次大戦中につくられ、戦後間もない1948年に恒久化した。首都ストックホルムをはじめ主要都市に全住民を収容できる核シェルターを設け、日頃は地下駐車場や室内運動場などに使用している。

 戦後、多くの国は核攻撃から自国民を守るために腐心してきた。だが、わが国は唯一の被爆国でありながら、国民を守る具体的な取り組みを怠った。いくら「核廃絶」や「憲法9条」を叫んでも、北朝鮮はミサイル発射や核実験を止めようとしない。それが国際社会の厳しい現実だ。

安全・安心な国づくりを

 地域の自主防災組織を「民間防衛組織」に高め、「NBC兵器対策班」を設ければ、大地震に際しても工場火災に伴う有毒ガス発生や福島第1原発事故のような事態にも対処できる。

 防災と防衛を連動させ、国民の生命を守る、安全・安心な国づくりを急ぐべきだ。