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米核兵器国内配備、対北抑止力強化のため検討を


 石破茂元地方創生担当相がテレビ番組で、北朝鮮の核・ミサイル開発に絡んで、米国の核抑止力を確実なものにするため核兵器の日本への持ち込みに言及した。「持たず、つくらず、持ち込ませず」とした「非核三原則」に反するとして反対する向きが多いようだが、核政策の選択肢の一つとして検討すべき重要課題である。

 石破氏が議論開始求める

 石破氏は「核の傘に守ってもらいながら『日本国内には置きません』というのは議論として本当に正しいか」と述べ、北朝鮮の核開発への抑止力として米軍の戦術核兵器の国内配備について議論を始めるべきだとの見解を示した。これに対し、菅義偉官房長官は「政府としては非核三原則を政策の方針として堅持している。これまで見直しの議論はしておらず、これからも議論することは考えていない」と強調した。

 わが国の核政策は非核三原則だけと誤解している者が多いが、1952年のサンフランシスコ講和条約発効後も長らく米国の施政下にあった沖縄の返還時に定まった「核四政策」である。これは国会での返還条件をめぐる議論の過程で打ち出され、今日まで変わっていない。

 核四政策とは①非核三原則を守る②その代わり、核攻撃への抑止力は米国に依存する③核の平和利用には力を入れる④国際核軍縮を推進する――というものである。

 これは諸外国のように国際政治、防衛政策の専門家の議論を経て策定されたものではなく、野党の質問に対する自民党政権の答弁を集大成したものにすぎない。しかし留意すべきは、核攻撃への抑止力の対米依存が非核三原則の大前提となっている点だ。

 北朝鮮の核・ミサイル開発が急進展する状況下で、これを阻止する手段は絞られつつある。経済制裁だけで国際社会の懸案を解決できたのは、南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)政策だけである。

 こうした中、米国内では北朝鮮に対する武力行使も辞さないとする一方、米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発さえ停止すれば、北朝鮮の核武装を黙認する考えが浮上しつつある。米国はかつてインド、パキスタンが秘密裏に核戦力を開発した時、露見後これを容認した前例がある。

 それに想起すべきは、冷戦後の国際社会では自国の価値観に基づき国益実現を最優先する状況が生まれている点だ。それにつれて同盟の寿命、信頼性が低下しつつある。

 さらに、米国の核戦力の低下の一方、中露両国の核戦力の強化が進んでいる。その結果、米国の「拡大抑止力(核の傘)」の信頼性が低くなりつつある。こうした「拡大抑止力」低下を補うには、核兵器持ち込みも一選択肢である。

 政治家は思考停止するな

 スイスは核武装を断念した代わりに、国民避難用の核シェルターが100%完備している。日本は核戦争の悲惨さを強調するだけで、核シェルターはなきに等しい。政治家は「唯一の被爆国」論だけで思考を停止してはならない。

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