大坂容疑者逮捕、今も続く「沖縄闘争」に警戒を


 1971年に警察官が殺害された渋谷暴動事件の容疑者が46年ぶりに逮捕された。極左集団「中核派」の活動家、大坂正明容疑者で、非公然活動家らが組織的に逃走を支援していた。現在も極左集団が公然、非公然の活動を続けていることを改めて想起しておきたい。

 渋谷暴動事件で警官殺害

 第一に、中核派は正式名称が「革命的共産主義者同盟全国委員会」であるように共産主義を信奉する集団だ。わが国の共産主義組織はレーニンが創設したコミンテルン(国際共産党)日本支部の日本共産党から始まり戦後、同党と路線対立したグループが次々と分派を結成し、極左集団が生まれた。中核派もその一つだ。

 共産主義集団は「国家権力」の打倒を掲げ、そのために暴力も辞さない。中核派は渋谷暴動事件を正当化し、機関紙「前進」(6月8日号)では「大坂同志へのデッチあげ弾圧」とし、「怒りをこめて徹底的に粉砕しつくそう」と主張している。

 共産党も根は同じだ。宮本顕治元議長が唱えた「敵の出方論」(平和革命になるかどうかは敵の出方による)を放棄しておらず、公安調査庁は対象団体に指定している。武装闘争の危険性がある共産主義集団は少なからず存在している。

 第二に、渋谷暴動事件は「沖縄闘争」の一環として引き起こされたもので、今も極左集団は過激な闘争を継続している。

 事件の発端は1971年6月に日米間で調印された沖縄返還協定だ。これに反対する左翼勢力は同年11月に沖縄でゼネストを決行、それに呼応して中核派は渋谷駅周辺で、鉄ハイプや火炎瓶で警官らに襲い掛かり、中村恒雄巡査(当時21、殉職後警部補に昇任)を死亡させた。

 これを中核派は「渋谷暴動の偉大な地平」と称し、沖縄で「辺野古闘争」を展開している。警察庁の松本光弘警備局長は今年3月、参院内閣委員会で「(沖縄米軍基地の)反対運動を行っている者の一部には極左暴力集団も確認されていると承知している」と述べている。

 第三に、極左集団は「組織の維持・拡大をもくろみ、暴力性・党派性を隠して大衆運動や労働運動」(警察白書)に取り組んでいる。

 大衆運動の一つが反原発闘争で、中核派は「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(NAZEN)を組織し、市民運動を装っている。2013年の参院東京選挙区で「反原発」を掲げて当選した俳優の山本太郎氏はNAZENから組織的支援を受け、公安当局から国会に極左集団の橋頭堡(きょうとうほ)を築いたと警戒されている。

 第四に、大坂容疑者は逮捕されたが、日航機「よど号」ハイジャック事件(1970年)や三菱重工ビル爆破事件(74年)などで未逮捕者がいる。よど号事件の魚本(旧姓安部)公博容疑者は有本恵子さん拉致事件にも関与したとして国際指名手配されている。

 逃走犯逮捕に努めよ

 大坂容疑者逮捕は公安事件解決の一里塚にすぎない。引き続き逃走犯の逮捕に努めてもらいたい。今も続く「闘争」への警戒も怠ってはなるまい。