特殊詐欺、根絶に向け一層の官民協力を


 振り込め詐欺など特殊詐欺の被害額が、2016年は406億3000万円で、前年から75億6800万円(15・7%)減少した。認知件数は1万4151件と6年連続で増加した。

 被害額減少は2年連続だが、それでも400億円以上がだまし取られている。警戒を緩めることはできない。

 被害額は400億円以上

 手口別では、おれおれ詐欺が5%減の約166億円と7年ぶりに減少。架空請求詐欺も16%減の約158億円だったのに対し、還付金詐欺は67%増の約43億円で、件数も55%増の3682件に上った。

 おれおれ詐欺は、被害者から現金を直接受け取る「受け子」を使って一度に多額をだまし取る。これに対し、還付金詐欺は1件当たりの被害額は少ないものの、詐欺グループが被害者に会わずに現金自動預払機(ATM)で口座に送金させるものだ。

 受け子の摘発が進んだため、還付金詐欺が増えているとみられる。被害額が減少したにもかかわらず、件数が増えたのはこのためだ。

 特殊詐欺の被害額は14年に過去最悪の565億円余りに達した。これに比べ16年は約160億円減っているが、それでも1日平均1億円以上の被害が出ている計算だ。卑劣な犯罪の根絶に向け、官民の一層の協力が求められる。

 昨年12月には改正通信傍受法が施行され、犯罪捜査での電話やメールなどの傍受の対象が、従来の組織的な殺人や薬物・銃器事案に加え、振り込め詐欺や窃盗、誘拐などに拡大された。受け子のような犯行グループの末端メンバーだけでなく、中枢の摘発強化が期待される。

 被害者の多くは高齢者だ。16年の65歳以上の被害は前年比400人増の1万1041人で、全体の8割近くを占めた。警察庁によると、還付金詐欺で使われたATMのうち96・5%は無人だった。被害防止に向け、金融機関では高齢者がATMで振り込みをできないようにし、職員のいる窓口の利用を促す取り組みが広がっている。

 声掛けによる水際阻止は、16年には最多の1万3140件に上り、約192億円の被害を防いだ。一層の被害減少に向け、金融機関などが知恵を絞るのはもちろん、利用客も高齢者に注意を払いたい。

 一方、大阪府では特殊詐欺の被害が広がっている。昨年の認知件数や被害額はいずれも過去最悪を更新。府警は昨年11月、140人体制の緊急対策プロジェクトチームを発足させた。

 かつて大阪府は、特殊詐欺の被害が少ないことで知られていた。ところが昨年は、全国的には減少しているおれおれ詐欺の認知件数が10月末時点で前年同期比約4・3倍、被害額は約3・3倍に増加している。関西で犯行グループが形成され、関西弁を巧みに操ってだますケースが多いという。警戒を強めるべきだ。

 高齢者と常に連絡を

 高齢者は子や孫と離れて暮らしていたとしても、日ごろから電話でまめにやりとりをしていれば被害に遭う可能性は低くなる。常に連絡を取り合うように心掛けたい。