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共謀罪創設、テロ対策強化に不可欠だ


 政府は、犯罪の計画段階で処罰可能とする共謀罪創設のための組織犯罪処罰法改正案を今月召集予定の通常国会に提出する方針だ。

 2020年東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策強化は喫緊の課題だ。共謀罪創設法案は過去3度にわたって国会に提出されたが、野党の反対で廃案となった。今度こそ成立させなければならない。

国際条約締結の条件

 共謀罪に関する国内法の整備は、政府が00年に署名した国際組織犯罪防止条約を締結するための条件だ。

 187の国・地域が締結済みだが、日本で法整備が進まなければ、国際社会から「テロ対策に消極的」と見られても仕方がない。各国とともにテロとの戦いを進める上でも、共謀罪創設は欠かせない。

 野党が創設に強く抵抗してきたのは、捜査機関の拡大解釈による不法逮捕や人権侵害につながるとの考えからだ。このため、提出予定の法案はテロ対策としての性格を前面に出し、共謀罪の名称を「テロ等準備罪」としている。

 さらに資金調達などの具体的準備行為を処罰要件に加えたほか、従来の法案で「団体」としていた適用対象を「組織的犯罪集団」に限定した。労働組合や市民団体などに適用されることはない。

 テロの脅威は全世界で高まる一方だ。昨年12月には、ドイツのベルリンでトラックがクリスマス市に突っ込んで12人が死亡。年明けには、トルコのイスタンブールでナイトクラブが襲撃され、39人が犠牲となった。

 日本もテロと無縁ではない。昨年7月にバングラデシュの首都ダッカで発生した飲食店襲撃テロでは、国際協力機構(JICA)のインフラプロジェクトに携わっていた日本人7人が死亡した。13年1月にもアルジェリアで日本人10人が犠牲となっている。過激派組織「イスラム国」(IS)などは、日本をテロの標的にすると繰り返し表明している。

 世界的な関心が集まる東京五輪でも、テロが発生する恐れは否定できない。実際に1972年のミュンヘン五輪では、パレスチナ武装組織がイスラエル選手団の宿舎を襲撃し、11人を殺害するテロが起きている。無辜(むこ)の人たちを死傷させる卑劣な犯罪は決して許されない。五輪開催に向け、テロ対策強化は最重要課題と言えよう。

 しかし、野党は今回の法案にも「テロ以外にも恣意(しい)的に適用される可能性がある」などとして反対する構えだ。あまりにも無責任ではないか。政府は国民に共謀罪の必要性について丁寧に説明し、法案を成立させる必要がある。

 テロを未然に防ぐには、情報収集能力の向上も重要だ。政府は昨年9月、ダッカのテロを受け、首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット」と在外公館の担当官を現在の計約40人から約80人に倍増した。

本格的な情報機関設立を

 だが真剣に情報収集強化を目指すのであれば、本格的な情報機関の設立が欠かせない。政府は設立に向けた検討を進めるべきだ。