リオ五輪閉幕、東京五輪も「安全」最優先で


 史上最多205の国と地域から1万人を超えるアスリートが参加し、五輪旗と聖火の下で力と速さと技と美を競った南米大陸で初開催のリオデジャネイロ五輪は、世界中の人々を沸かせ大きな感動に包む中でその幕を閉じた。

 今はどこで起きても不思議でないテロが最も懸念されたが、テロを封じ込め、無事に17日間の熱戦が繰り広げられたことを何よりも喜び拍手したい。

日本のメダルが史上最多

 経済の大不振、政情不安、大会準備の遅れと運営の混乱、治安への懸念など、さまざまな問題が噴出する中での五輪であった。だが「多様性」を掲げた大会は、問題を引きずりながらも成功に漕(こ)ぎ着けた。

 国際オリンピック委員会(IОC)のバッハ会長も「GDP(国内総生産)の上位国でなくても開催できることを示せた」と評価。ブラジルだけでなく南米の国々に自信と力を与え、未来に明るい展望を開いたと言えよう。

 成功を担ったのは、言うまでもなく主役のアスリートである。選手が力の限りを尽くした結果は27の世界新記録を残した。歴代最多記録でも、ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)の100㍍など陸上の3冠は3大会連続の達成。競泳で5個の金メダルに輝いたマイケル・フェルプス選手(米国)は通算23個もの金メダル獲得記録となり、それぞれ五輪伝説上の選手として世界中の人々の記憶に刻まれることであろう。

 日本選手団も大健闘で、4年後の東京五輪に期待が膨らむ結果を残したことは大いに称(たた)えたい。目標だった金14個には届かなかったが、12個の獲得は国別では6位。これに銀8、銅21を加えた計41個のメダル獲得は、総数で30個以上という目標を大きく上回り、史上最多である。

 男子体操個人総合の内村航平選手や同団体、レスリングで4連覇を達成した伊調馨選手など金メダルが輝いた演技や試合、競泳などはいずれも日本中を熱狂させた。これに劣らぬ熱狂を呼んだのは陸上100㍍では最高で準決勝止まりの山県亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥4選手が、男子400リレーで絶妙のバトン受け渡し技術で激走して獲得した銀メダルであった。体格で不利な日本人が高度な技術で輝いた銀は、金に匹敵する。最も日本らしさを表した記憶に残るパフォーマンスと言っていい。

 さて、次は東京五輪である。主役の選手強化への取り組みが急務である。今回、日本はメダル獲得数では史上最多となったが、獲得競技数はロンドン五輪の13から10に減っている。東京五輪ではリオ以上の成績が求められる。そのため不振だった団体球技などの復活と新しい有望競技の選手強化など4年後を見据えて強化競技の裾野を広げることも必要である。

国際連携でテロ防止を

 運用面ではリオ五輪の経費抑制に見習うところも少なくないし、それも必要である。

 一方で「安心、安全、確実」を掲げる東京五輪では、海外情報機関との綿密な連携を図り、何よりもテロの封じ込めを最優先して取り組んでもらいたい。