国境離島、抑止効果高める振興策を


 国境近くに位置して人が住んでいる離島への支援強化は、安全保障や権益確保の点で非常に重要だ。

 中国の強引な海洋進出などを踏まえ、無人化を防ぎ、抑止効果を高めるための振興策が求められる。

 通常国会で特措法制定

 日本は6852の島嶼(とうしょ)で構成され、このうち北海道、本州、四国、九州および沖縄本島を除く6847島が離島となる。領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積は約448万平方㌔で世界で6番目に広いが、これは離島が広く点在しているためだ。

 日本の周辺海域には、メタンハイドレートや海底熱水鉱床などのエネルギー・鉱物資源が豊富に存在する。離島の適切な管理は、安全保障や権益確保のために欠かせない。

 特に人の住む国境離島がいったん無人化した場合、日本の主権や権益が脅かされる恐れがある。中国が奪取を狙う沖縄県・尖閣諸島には戦前、最大200人余りが住んでいたが、かつお節製造などの事業撤退で無人化した。

 有人国境離島では日本国内の他の地域と比べても人口減少や高齢化が進んでいる。先の通常国会では無人化を防ぐため、有人離島保全特別措置法が議員立法で制定された。

 日本人が居住する「有人国境離島地域」について、国が土地の買い取りや港湾整備、不法入国の防止などに努める内容だ。特に支援が必要な「特定有人国境離島地域」の8都道県71島については、渡航のための船舶、航空運賃を抑えるなど島民の負担を軽減するとともに、雇用創出や漁業経営の安定化策も講じていく。

 8都道県は来夏までに地域社会の維持に関する計画を策定する。離島の置かれた厳しい条件に配慮しつつ、政府が離島に派遣するアドバイザーの意見や島民のニーズを反映させることが求められよう。

 このところ中国は海洋進出の動きを強めている。6月には中国海軍艦艇が初めて尖閣周辺の接続水域内に入ったほか、鹿児島県・口永良部島西の領海に侵入した。今月初めには中国公船が尖閣周辺で領海侵入を繰り返し、最大で400隻ほどの漁船が接続水域に現れた。

 特措法には、国が有人国境離島に行政機関を設置するよう努めることも盛り込まれた。適切な配置によって、抑止効果を高めることが求められる。

 来年4月に特措法が施行されるのに合わせ、先月には「離島保全・管理のあり方に関する基本方針」が改定された。基本方針では、国民に離島の重要性について啓発を行うとしている。安全保障や権益確保についての内容はもちろん、独自の歴史や文化などに関しても広く伝え、国民の離島への関心を高めてほしい。

 尖閣での公務員常駐を

 今回の特措法は有人島が対象だが、今後は無人島を含めた総合的な離島政策を立案する必要がある。

 特に尖閣に関しては、公務員常駐などの実効支配強化を真剣に検討し、領土・領海を守り抜くとの強い決意を示すべきだ。