沖縄慰霊の日、首相は安保の重要性訴えよ


 きょう沖縄は「慰霊の日」を迎えた。沖縄県の一般住民を巻き込み、日米合わせて20万人の犠牲者を出した沖縄戦での組織的な戦闘が終結した日だ。沖縄全戦没者追悼式には安倍晋三首相らも参列する。われわれも日米の犠牲者の方々に深い鎮魂の祈りを捧(ささ)げたい。

 辺野古移設に反対の知事

 今も在日米軍専用施設の74%が全国面積の0・6%の沖縄にあり、日米安保体制を維持する上で沖縄が大きな役割を担っていることにわれわれは感謝すべきだ。同時に、厳しい国際情勢の現実が、そのような状況を招いたことを沖縄県民に理解してもらいたい。

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沖縄「慰霊の日」の前夜祭で、献火する戦没者の遺族代表=22日夜、沖縄県糸満市の沖縄平和祈念堂

 中国の脅威の高まりで、在沖縄米軍基地の戦略的重要性が増している。沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺では中国公船の領海侵入が繰り返されている。このことはわが国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい状況にあることを示しており、日本の一部として沖縄がその圏外に立つことはできない。

 このような状況に対応するには、日米同盟の抑止力の向上が必要だ。さらに米軍普天間飛行場の辺野古移設を急がねばならない。

 現在の普天間飛行場の最大の問題点は、周辺に学校や民家が密集していることだ。万一、事故でも起これば大惨事となり、日米同盟関係の維持に支障を来しかねない。

 沖縄県議選で辺野古移設に反対する翁長雄志知事の支持派が議席を伸ばし、過半数を維持した。米軍属が先月、うるま市で起こした女性暴行・殺人事件で県民の反基地感情が高まったことも影響したと言えよう。しかし、沖縄を含めて日本の安全保障政策に責任を担っているのは政府であることを忘れてはならない。

 翁長知事は昨年の式典で読み上げた「平和宣言」で「選挙で反対の民意が示されており困難だ」と述べ、辺野古移設の中止を求めた。さらに「沖縄が(辺野古移設の)代替案を出すべきだとの考えは到底許容できない」とも語った。

 だが「慰霊の日」は犠牲者に哀悼の意を捧げ、平和への誓いを新たにする鎮魂の日である。それを利用して、翁長知事が自らの偏った政治主張を展開し、政府との対決姿勢を強調するのは行き過ぎであり、違和感を覚える。

 また、抑止力が低下すれば、日本が致命的な打撃を受けかねない。このことを翁長知事は理解すべきである。

 もちろん沖縄の重い米軍基地負担について、日本国民全体が認識すべきは当然のことである。政府は負担軽減を着実に進める必要がある。

 それとともに安倍首相に望みたいのは、日本の安全保障体制の現実を正面切って堂々と沖縄県民を含めて全国民に訴えることだ。

 在沖米軍が抑止力の中核

 中国の軍備が拡大し海洋進出が強まる中、在沖米軍基地はそれを阻止する米軍の抑止力の中核をなしている。

 換言すれば、日本防衛の要となっている日米安保体制は、在沖米軍抜きには存在し得ないということである。