建国記念の日、古代からの連続性は大きな力


 きょうは建国記念の日。初代天皇、神武帝が橿原宮で即位され、日本国の礎が築かれた日である。

 我々の遠き父祖たちの国づくりに思いを致しながら、日本のこれからを考えたい。

 世界最古の皇室戴く日本

 神武天皇からの皇統は、125代の今上陛下にまで連綿と繋(つな)がっている。その間、藤原氏など貴族が政治の実権を握った時代があり、鎌倉時代以降は武家が権力を手にしてきた。

 さらに明治維新後、西洋近代文明の圧倒的な影響があり、先の大戦敗北では、有史以来初めて外国勢力による占領を経験した。しかし、そのような政治的文化的な激動を経ても、皇室は常に国民統合の中心にあり、国民に敬慕されてきたということは、世界史の奇跡と言っても過言ではない。

 世界最古の皇室を戴くことは誇るべきことである。しかも今も国民とともにあり、そしてその国が世界を代表する経済先進国であり、先端技術国家であることに大きな意味がある。

 今なお完全な解決を見ない、韓国、中国との歴史問題で我々日本人がまず反省すべきは、自分たちの歴史を深く学び認識してこなかったことである。右も左もなく、イデオロギーや先入観にとらわれない、真正な歴史を求める努力が、政治リーダーや学者、ジャーナリストに欠けていた。

 同時に、周辺諸国にとって、歴史が過去の物語ではなく、人々の心に生々しく突き刺さるものであり、また政治的な意味の大きいことへの認識が不足していた。いわば歴史、歴史認識の恐ろしさに気付くのが遅かったとも言える。

 評論家の故・松本健一氏は、歴史を振り返ると、国家は領土を争うテリトリーゲーム、東西冷戦というイデオロギー対立、経済力を競うウエルスゲームを行ってきたが、冷戦が終結しグローバル化が進むにつれ、自分たちの歴史観や価値を主張するアイデンティティーゲームの時代に入ったと指摘した。

 確かに、日本と周辺国の歴史問題を見ると、その様相が強いと感じさせられる。とりわけ、歴史問題が外交カードに利用される現実を見ると、歴史や民族的アイデンティティーが政治ゲームの大きな要素になっていることを認めざるを得ない。

 しかし本来、民族のアイデンティティーは、このように扱うべきではないだろう。その内在的な価値を第一義とすべきだ。アイデンティティーがゲームの道具になり下がった時、文化の命は衰えていくのではないか。

 そういう意味で、わが国は民族的アイデンティティーをもう一度振り返ることが欠かせない。そのためにも正しい歴史への認識を深める必要がある。と同時に、内在的な価値を大切にしながら、それを充実させ深化させる努力が求められる。

 万世一系の皇統が核

 アイデンティティーとは、自己同一性とも訳される。その観点からすれば、万世一系の皇統を戴くことがその核であると改めて理解できるのである。連綿たる皇統と歴史の継続こそ、大きな力であることを改めて認識したい。

(2月11日付社説)