北方領土の日 4島一括返還に強い決意示せ


 36回目の「北方領土の日」を迎えた。我が国固有の領土である択捉島、国後島、歯舞群島、色丹島が旧ソ連に不法占拠され、今なお、その状態が続いている。安倍晋三首相はきょう開催の北方領土返還要求全国大会でロシアに改めて抗議するとともに、4島一括返還に向けた強い決意を明確にすべきだ。

以前にも増して強硬な露

 旧ソ連が北方領土を不法占拠してから、70年以上が過ぎた。あまりにも長い歳月だ。故郷を追われ、一刻も早い帰還を望む旧島民はもとより、4島返還を実現しようと努力してきた人々の間には、返還への熱意と同時に疲労感さえも漂う。

 だからこそ我々は、返還運動を文字通りの国民運動とし、一体となって盛り上げていくことが必要だ。国民全体の強い意志こそが、ロシアを相手とした困難な交渉を支え、返還実現のための不可欠な要素である。

 日本の敗色が濃厚だった1945年8月9日、ソ連は当時有効だった日ソ中立条約を破り、日本に対し一方的に宣戦布告した。ソ連は圧倒的な兵力を投入して、日本がポツダム宣言を受諾し終戦を迎えた8月15日以降も侵攻を続けた。

 そればかりか、旧日本軍人や民間人ら約60万人を国際法に違反してシベリアに抑留し、飢餓や酷寒の中での過酷な強制労働に従事させて約6万人を死に至らしめた。このような不当な歴史的事実を不問に付し、ロシアが北方領土を不法占拠したままでの日露平和条約締結はあり得ない。

 ロシアはこともあろうか、同様な振る舞いを現在も繰り返している。隣国ウクライナのクリミア半島を併合したのだ。そればかりでなく、同国東部の親露独立派武装勢力を支援し同国を不安定化させ、クリミア併合の既成事実化を図っている。

 国際社会はこの蛮行を糾弾し、ウクライナを支援すると共にロシアに経済制裁を科した。わが国も制裁に加わり、ロシアを強く非難した。

 経済制裁に反発するロシアの矛先は、わが国にも向けられた。メドベージェフ首相をはじめとして閣僚に次々と北方領土を訪問させ、さらに公式見解として「(領土問題を)協議するつもりはない。70年前に解決済み」と表明。以前にも増して強硬な姿勢で我が国を牽制(けんせい)し、昨年中のプーチン大統領の訪日も見送りとなった。

 しかし、たとえロシアがどのような姿勢を取ろうと、北方領土返還の実現はロシアとの交渉によってのみ可能となる。安倍首相は5月上旬にロシア南部のソチを非公式訪問し、プーチン大統領と会談する方向だ。

 北方領土をめぐる日露交渉は、これまでにも増して困難な状況にある。だが、ロシアは世界的な原油安で経済に大きな打撃を受けており、これに経済制裁が追い打ちをかけている。ロシアを領土交渉のテーブルに着かせる方法はあるはずだ。

国民も決意を新たに

 ロシア相手の困難な交渉を進める政府を支えるのが、4島返還を願う国民の意志だ。われわれは改めて北方領土をめぐる歴史を振り返り、返還に向けた決意を新たにすべきだ。

(2月7日付社説)