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米中首脳会談、中国を増長させる発言避けよ


 同時多発テロ後の厳戒下にあるパリで、2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組みを決める国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が始まった。

 初日の首脳級会合には、安倍晋三首相やオバマ米大統領、中国の習近平国家主席ら世界のおよそ150カ国・地域の首脳が参加した。この機会をとらえ、とりわけ米中など大国間の首脳外交が繰り広げられた。

 友好姿勢のオバマ氏

 首脳級会合を開くのは、京都議定書に代わる新枠組みの合意を目指した09年のCOP15以来であり、それだけ各国首脳の温暖化への関心が高まっていると言える。パリ同時多発テロ犠牲者への追悼で始まったCOP21は、世界に拡散するテロへの対策を議論する舞台にもなった。

 議長国フランスのオランド大統領は、テロと温暖化の二つの脅威に地球規模で対処する必要性を強調した。安倍首相は低炭素社会の実現に向け、日本が得意とする水素エネルギーなどの技術力で温暖化対策に貢献する考えを表明。対策に取り組む途上国への支援として、20年までに官民合わせて年間1兆円から1兆3000億円に増額することも示した。

 オバマ大統領はCOP21の開催こそがテロに対する国際社会の「抵抗」だと述べ、習主席はテロはわれわれの「努力」を阻止できないと語った。9・11の同時多発テロを経験した米国にとって、国際テロリズムとの戦いで各国との連帯を確認するには、これ以上ない機会であったと言える。

 一方、各国首脳は積極的に2国間会談を行った。オバマ大統領と習主席の米中首脳会談では、温室効果ガスの排出量で世界1位と2位の両国が協力して新たな枠組みの合意を目指すことを確認した。

 会談では南シナ海問題など両国間の懸案についても時間が割かれた。南シナ海で中国が造成した人工島の12カイリ内を米艦船が10月に航行して以降、公式には初めての会談だけに、両首脳の発言が注目された。

 オバマ大統領は、国際法に沿って解決する必要があると指摘し、航行の自由の問題について中国側を牽制(けんせい)した。また「見解の相違がある」と述べたのに対し、習主席は「核心的利益を尊重しなければならない」と主張。「衝突せずウィンウィンの原則を堅持しなければならない」と強調した。

 米中「新型大国関係」の提唱である。習主席は先月の中台首脳会談を踏まえて「米国は実際の行動で両岸(中台)関係の平和的発展を支持してほしい」と要求。オバマ大統領は「(中台関係の)安定的な発展を楽観している」と応じた。

 両首脳が温暖化対策に積極姿勢を示したことは評価できる。だがCOP21での新枠組み合意への協力を優先したのか、オバマ大統領からは「米中は相違よりも共通点の方がはるかに多い」との発言も飛び出した。

 「力による変更」非難せよ

 友好姿勢を否定すべきではないが、中国の「力による現状変更」を非難せず、図に乗らせるような発言は厳に慎まなければならない。

(12月3日付社説)