非常任理事国に選出、国連改革へ存在感発揮を


 日本は今月、国連安全保障理事会の非常任理事国に選出された。世界平和のために一層の貢献を果たすとともに、国連改革に向けて存在感を発揮したい。

 日本が史上最多の11回目

 任期は来年1月から2年間で、当選回数は今回で国連史上最多の11回に達した。選挙では、193加盟国の9割を超える184カ国から支持を集めた。国際社会の大きな期待に応えることが求められる。

 非常任理事国は自国の立場を反映した安保理決議案を提出できるほか、安保理の非公開協議に参加するため情報収集も容易になる。2009年5月の北朝鮮による核実験の際、当時非常任理事国だった日本は、安保理制裁決議案の作成に草案段階から関与。決議案は全会一致で採択された。日本は今後、日本人拉致など北朝鮮の人権問題についても安保理会合で追及する構えだ。

 だが、非常任理事国は拒否権を持つ常任理事国と比べれば、影響力は限定的なものとならざるを得ない。

 常任理事国には、南シナ海での人工島造成など強引な海洋進出を行う中国や、ウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合し、同国東部の親露派支援のため軍事介入しているロシアが含まれる。

 国連は世界の平和と安全を維持するための組織であり、そのことは国連憲章にも明記されている。「力による現状変更」を進め、国際秩序を乱している中露両国が、大きな権限を持つ常任理事国にふさわしいとは到底言えまい。

 一方、日本は戦後70年間、一度も戦争を起こさなかった。国連に対しても米国に次ぐ額の分担金を支出している。それにもかかわらず、常任理事国入りができないばかりか、憲章には第2次世界大戦で連合国の敵であった日独伊への自由な武力行使を認めた「旧敵国条項」が残っている。理不尽極まりない。

 大国の利害が衝突し、国連が機能不全に陥ることも多い。欧州への難民流入の原因ともなっているシリア内戦に関しては、同国のアサド政権に即時暴力停止を要求する安保理決議案に対して中露両国が拒否権を行使した。アサド政権を擁護するロシアは、先月末からシリアに軍事介入し、情勢は混迷の度合いを深めている。

 国連が本来の役割を果たすためには、改革が不可欠だ。安倍晋三首相は先月末、国連総会の場で日本とともに常任理事国入りを目指すドイツ、インド、ブラジルの4カ国グループ(G4)首脳と会談。来年9月の次回国連総会の前までに「具体的成果」を得るため連携を強化することで一致した。

 G4の改革案は、常任理事国を5カ国から11カ国に、非常任理事国を10カ国から14~15カ国にそれぞれ拡大することなどが柱だ。

 日本は非常任理事国として存在感を発揮し、改革への理解を広げていく必要がある。

 機運高める戦略が必要

 もっとも日本の常任理事国入りには中国が強く反対しており、実現は決して簡単ではない。まずは改革への機運を高めるための戦略が求められる。

(10月24日付社説)