わが国も安心はできない台風被害


 今年発生した台風の中で最も強い勢力となった台風30号がフィリピンを直撃し、中部レイテ島では死者が1万人に上る恐れがある。

 地球温暖化などの影響で、今後も猛烈な台風が発生することが予測される。日本に襲ってくる可能性も否定できない。

 高波による犠牲者多数

 気象庁の観測によれば、台風30号の最大風速は秒速64㍍、最大瞬間風速が同90㍍に達したほか、中心気圧が一時、895ヘクトパスカルを記録するなど観測史上最強クラスの台風だった。ちなみに、気象庁は最大風速が同54㍍以上の台風を「猛烈な」と表現している。

 レイテ島では台風が通過した地域の70~80%の建物が破壊されたという。この後、勢力を弱めているとはいえ、中国やベトナムでも死者が出ている。

 フィリピンの被災地ではインフラが壊滅状態となり、被災者への援助物資の配給は難航している。また、レイテ島の中心都市タクロバンでは、雑貨店や現金自動預払機(ATM)が襲撃されている。

 国連はフィリピン全土で60万人以上が家を失い、食料や水、医療品が必要だと指摘している。米太平洋軍が救援活動に乗り出すなど、国際社会の支援も本格化し始めた。日本からは国際緊急援助隊の医療チームが被災地に向けて出発したほか、フィリピン政府の要請があれば自衛隊を迅速に派遣できるよう政府内で調整が進んでいる。

 日本は自然災害が多いため、災害救援に関しては豊富な経験と技術的なノウハウの蓄積がある。今回の被災地でも、これらを生かしてほしい。

 多数の犠牲者が出たのは、台風で発生した高波にのまれたためだ。低気圧による吸い上げなどのため、波の高さは5㍍以上に達したとみられている。この高さは、1959年に日本に襲来した伊勢湾台風の時を大きく上回る。

 台風の発生数は過去数十年間でそれほど変わっていないが、強いものの発生比率は増えている。温暖化による海水温の上昇が、台風を大型化させているためだ。

 今回のような桁外れの強さの台風が日本を襲う可能性も指摘されている。日本の平地での最大風速は65年に高知県室戸岬で観測した同69・8㍍、最大瞬間風速は66年の沖縄県宮古島での同85・3㍍だが、これ以上の強さの台風が来ることも想定すべきだろう。

 もちろん、これほど猛烈でなくても、先月には台風26号による記録的な豪雨で、東京・伊豆大島で大規模な土石流が発生して35人が死亡し、6人が安否不明となっている。

 この時は、豪雨を記録した範囲が狭く、基準が満たされずに特別警報が発表されなかったことや、タイミングの判断がつかなかったため、避難勧告が出されなかったことなどが被害を広げた。こうした対応は改善されなければならない。

 猛烈な台風への対策を

 猛烈な台風の場合、特に海沿いの地域では高波への対策が求められよう。巨大地震による津波対策などと併せて考える必要がある。

(11月12日付け社説)