気候サミット、原発再稼働し早く削減目標を


 原発再稼働をできるだけ早く実現し、温暖化対策での出遅れを取り戻さなければならない。

 米ニューヨークで開かれた国連気候変動首脳会議(気候サミット)で、京都議定書にも参加せず、これまで温暖化対策に消極的だった米国と中国が2020年以降の新枠組みづくりに積極姿勢を示した。一方日本は、途上国における温暖化対策で3年間で1万4000人の人材育成を行う方針を打ち出したものの、自国の温室効果ガス削減では具体的な方向を示すことができなかった。

 積極姿勢に転じた米中

 オバマ米大統領は演説で、中国の張高麗副首相と協議し「我々は世界の2大経済・排出国として、取り組みを主導する特別な責任がある」と呼びかけたことを明かし、張副首相は20年以降の温室ガス排出削減目標について「できるだけ早く示す」と表明した。

 各国は、来年末の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、途上国を含む全ての国が参加する新たな枠組みへの合意を目指す。

 主要国では、米国が来年の早い時期に削減目標を決定するとし、中国も来年3月末までの提出に向け努力、欧州連合(EU)は、今年10月にも決定するとしている。

 これら主要国は、積極的な取り組みで新枠組み交渉を主導することを狙っているものと思われる。

 これに対し、日本は安倍晋三首相が「できるだけ早期に提出することを目指す」と述べるにとどまった。発表した人材育成への支援は、日本の技術力や持ち味などを生かした重要な取り組みだ。

 しかし温室ガス排出量で世界5位の日本が、自国の排出量の削減について明確な方針を示せないようでは、新たな枠組み交渉で後手に回ることになりかねない。国際社会で温暖化対策に関する発言力がますます弱まってしまう。

 日本が、20年以降の削減目標案について提出時期も示せないのは、東京電力福島第1原発事故で、原発がことごとく停止に追い込まれ、原発を含むエネルギー政策が見直しの真っ最中であるためだ。

 菅義偉官房長官は、新しい削減目標について10月に有識者による審議会を設置して検討を進める方針を明らかにした。温室ガスの排出量を左右する最適な電源構成(ベストミックス)を早く定める必要がある。

 そのためには、原発再稼働の見通しが立つかどうかが最も大きな問題となる。温室ガス排出量をできるだけ減らすために最も有効な電源が、排出ゼロの原発であることは論をまたない。

 九州電力川内原発1、2号機が原子力規制委員会による安全審査をパスしたが、再稼働は年明け以降と見られている。他の原発の安全審査を加速させてほしい。拙速は慎まなければならないが、時間をかければいいというものではない。

 総合的な視野で推進を

 原発再稼働が、温暖化対策においても経済面においても、最も有効であることを念頭に、広く総合的な視野で推進していくべきである。

(9月28日付社説)