漁獲制限でクロマグロの資源回復実現を


 太平洋クロマグロの資源量を回復させるため、未成魚(30キロ未満)の漁獲を2015年から半減させることになった。中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が福岡市で開いた小委員会で、日本や米国、韓国など関係国が合意した。減少するクロマグロの資源管理の実効性のある方策として、その成果を期待したい。

未成魚乱獲で親魚減少

 この合意によって日本周辺を含む西太平洋海域での水揚げは、02~04年の平均漁獲実績を基準に未成魚は半減、30キロ以上は02~04年の漁獲実績を上回らないよう制限される。規定に違反した国は、輸入制限措置が講じられることになっているが、違反やごまかしを見逃さないチェック方法や体制を今後さらに整える必要がある。

 太平洋クロマグロの親魚の資源量は、約2万6324㌧(12年)と過去最低近くまで落ち込んでいる。原因は、メジなどの通称を持つ未成魚の乱獲だ。今回の合意によってWCPFC加盟国は、15年から10年間で親魚の資源量を4万3000㌧に回復させることを目指す。

 太平洋クロマグロの減少には国際的な懸念が強く、16年に開かれる、野生動物の取引を規制するワシントン条約国会議で絶滅危惧種に指定される恐れがある。そうなった場合、クロマグロの輸出入ができなくなることも予想される。

 世界のクロマグロの8割を消費する日本としては、このような事態は回避しなければならない。そのためにも、太平洋における資源回復への道筋を示す必要があった。「漁獲半減以外に資源回復の道はない」(水産庁・宮原正典顧問)状況だった。日本の提案に当初、消極的だった韓国も、資源枯渇を懸念する国際世論に押され容認に転じた。

 日本は7月に、太平洋の東側のマグロ類を管理する「全米熱帯まぐろ類委員会」の会合でも未成魚の漁獲半減を提案したが、メキシコの反対で継続審議となった。10月に開かれる臨時会合で再提案するが、WCPFCでの合意が追い風となることを期待したい。

 マグロの漁獲量を制限することによって資源を回復することは、既に大西洋において実績がある。大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は99年から漁獲量を制限、12年には生息量の増加が確認され、昨年の東大西洋での漁獲枠を前年より500㌧増やした。

 10年間という長い期間を要するが、西太平洋海域においても未成魚の漁獲制限によって資源が回復すれば、持続可能なマグロ漁業の展望が開かれてくる。

 これまでの漁獲制限の影響などからしても、漁獲量半減による値上がりなど食への影響は限定的とみられる。養殖が進んでいることもその背景にある。

一層の取り組み強化を

 マグロと並んで日本人が好むウナギも、稚魚の国内漁獲高が激減。ニホンウナギが国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定された。

 日本の食文化を守るためには、資源の保護・管理が死活的に重要になっていることを自覚し、一層の取り組み強化に繋(つな)げる必要がある。

(9月7日付社説)