北に対処する上で日米韓連携が不可欠


 小野寺五典防衛相はシンガポールで、米国のヘーゲル国防長官、韓国の金寛鎮国防相と会談した。

 3カ国は、核・ミサイル開発の放棄に応じようとしない北朝鮮に対して緊密に連携し、アジア太平洋の安定のために協力を進めることをうたった共同声明を発表した。

 日韓防衛相会談は見送り

 日本と北朝鮮が日本人拉致被害者の再調査で合意して以降、日米韓の閣僚級が会談するのは初めてだ。

 北朝鮮による再調査が開始される時点で日本は一部制裁を解除するが、米韓の一部には北への国際圧力が弱まりかねないとの見方があった。共同声明はこのような懸念を払拭(ふっしょく)するためのものとして評価される。

 北朝鮮に対処する上で日米韓の連携は不可欠だ。その具体例としてミサイル防衛(MD)の3カ国共同運用が挙げられる。だが、そのために必要な軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は日米、米韓の間でそれぞれ締結されているものの、日韓間では未締結のままで穴の開いた状態となっている。

 韓国側には、拉致再調査合意で日本の対北姿勢が変わるのではないかとの不安がある。小野寺防衛相は拉致問題解決への理解を求めるとともに「拉致問題とともに、核やミサイルも重要」との認識を明確にして韓国側の懸念解消に努めた。

 共同声明ではまた、北朝鮮を核保有国として認めないとの基本的立場を強調していくことでも合意した。核保有に反対する3カ国の立場が揺るぎないことを知らせる上で効果的だと考えられる。

 残念だったのは、米国の仲介にもかかわらず日韓防衛相会談が見送られたことだ。ヘーゲル長官は、歴史問題などを理由として日韓の防衛当局間の交流や協力が停滞している現状を踏まえ、「軍事と政治」を分離して対応していくべきだと指摘した。小野寺防衛相は「日米韓だけでなく、日韓の防衛交流も推進できるよう努めていきたい」と応じた。

 いずれも正論だが、日韓の会談が行われなかったのは、過去の「日帝」の植民地支配の記憶から日本との協力に韓国世論が否定的なためだ。韓国側は「政治と軍事の切り離し」は歴史、国民感情から難しいと強調している。

 一方、小野寺防衛相は今回の会談で集団的自衛権をめぐる安倍政権の取り組みを説明。安倍政権は行使容認のため、憲法解釈の変更や法整備に向けて動き出したが、韓国側は日本の“軍国主義化”として神経をとがらせている。

 今回痛感させられたのは、韓国国内の対日感情が日韓の防衛協力を妨げている現状だ。韓国側としては、こうした感情は過去の歴史からきたものとして否定はできないだろう。しかし北朝鮮は現在、韓国民の生存を脅かしている。現実を直視しなければならない。

 韓国民説得の努力を

 日韓の防衛協力に向け、韓国政府とともに日本政府のさらなる努力が必要といえよう。時間をかけて韓国民を説得することが求められる。

(6月2日付社説)