日米防衛相会談、対北抑止へ韓国と連携強化を


 小野寺五典防衛相は、訪日したヘーゲル米国防長官と会談した。北朝鮮の脅威に対し、日米韓が緊密に連携することを確認した意義は大きい。

 イージス艦を追加配備

 北朝鮮は3月末、中距離弾道ミサイル「ノドン」の発射に踏み切った。オランダ・ハーグで日米韓の首脳が北朝鮮問題を論議している最中だった。

 さらに「新たな形態の核実験も排除しない」と核問題での強硬姿勢を訴えたほか、黄海の北方限界線(NLL)付近で砲撃訓練を強行するなどの挑発行為を行った。北朝鮮の狙いは、米国が世界への軍事的関与を弱めている中、日米韓の連携に揺さぶりをかけることであろう。

 この点、日米防衛相会談は、高まる北朝鮮の脅威への日米の具体的対応を煮詰めた点で実り多いものとして評価できる。

 ヘーゲル氏は、核・ミサイルの開発を進める北朝鮮への抑止力を高めるため、米国が2017年までにイージス艦2隻を日本に追加配備し、計7隻態勢とする計画を明らかにした。対日防衛への米国のコミットメントの確かな証しとなるものとして歓迎される。

 小野寺氏は集団的自衛権の行使容認に向けての検討状況について説明し、ヘーゲル氏はこうした取り組みを歓迎した。年末までに再改定される予定の日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に反映されれば、日米安保体制のさらなる強化が期待されよう。

 両氏はまた、力を背景とした現状変更の試みに反対していくことで一致。中国が不当に領有権を主張する尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、日本の施政権下にあり、日米安保条約の適用範囲になるとする米国の立場を確認した。

 さらに日米韓、日米豪の3カ国間の防衛協力を進めることでも合意した。過去の歴史へのわだかまりから日韓の防衛協力は困難とされてきたが、北朝鮮の脅威に対抗する上で実現が求められる。

 ヘーゲル氏の今回の訪日の背景にあるのは、同盟国を守る姿勢とアジアを重視する「リバランス(再均衡)」戦略の推進をアピールする必要性だった。

 ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合したが、米国は止められなかった。米政府が心配するのは、各国がこれを米国の力の低下と受け止めかねないことだ。そうなれば中国や北朝鮮が近隣諸国により攻勢的となり、東アジア情勢が不安定化する恐れがある。イージス艦2隻の日本への追加配備は、こうした状況を踏まえたものだと言えよう。

 問題は「リバランス」戦略へのわが国の対応である。まず認識しなければならないのは、自力防衛の体制や心構えのない国を守ることは米国の国民感情が許さないということだ。

 日韓防衛協力が必要

 したがって、わが国は自らの防衛力の強化に加え、周辺の友好国との防衛協力を進めることが肝要だ。日米そして米韓の間には同盟関係があるが、残念ながら日韓の間にはない。

 当面は米国を中に挟んでの連携となろうが、将来的には日韓防衛協力が必要である。

(4月8日付社説)