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相撲協会は「国技」発展へ適正な運営を


 日本相撲協会が公益財団法人に移行した。税制面で優遇される分、適正な運営に努めなければならない。ファンの信頼を回復し、「国技」である相撲の発展に尽力すべきだ。

 公益財団法人に移行

 相撲界では野球賭博や八百長問題などの不祥事が相次ぎ、多くの力士や親方が追放され、協会の存続が危ぶまれた時期もあった。八百長問題の発覚で2011年3月の春場所は中止に追い込まれ、深刻なファン離れを招いた。

 移行を受け、北の湖理事長(元横綱)は「国民、相撲ファンの皆様から支持を得られるよう努力しなければならない。先人がつくり上げた相撲を後世に残すためにも、これが本当の第一歩」と決意を述べた。信頼回復に指導力を発揮することが求められる。

 移行に際しては、高額でのやりとりが問題視されていた年寄名跡を協会が一括管理し、襲名、推薦に関しての金銭授受を禁止することが定款に盛り込まれた。不祥事の防止や素早い対応のため、第三者通報窓口も設置される。

 しかし、年寄名跡に関しては「顧問料」などの名目で先代との金銭のやりとりができる。理事らの選解任権、決算の承認など大きな権限を持つ評議員会に親方を送り込むこともできる。長年にわたって元力士が運営してきた協会の要望が認められた形だ。

 内閣府に移行を申請する際、北の湖理事長は「伝統を守る」との方針を貫いた。申請が当初の予定より1年以上遅れたのは、定款案の取りまとめに時間がかかったためだ。

 相撲界には独自の伝統やしきたりがあり、それらが相撲文化を形成してきたことは間違いない。とはいえ、従来のシステムが温存されれば、本当に不祥事の再発を防げるのかとの懸念は残る。

 北の湖理事長は、07年の力士暴行死事件や08年のロシア出身力士による大麻問題で対応のまずさが指摘され、結局辞任に追い込まれた。

 年寄名跡の扱いを含め、大幅な組織改革を進めようとした放駒前理事長(元大関魁傑)が退いたことで、一昨年1月に理事長に復帰したが、ファンの視線は今でも厳しいことを自覚すべきだ。

 公益認定に際し、内閣府からは「問題に対処し、国民に説明するのが大事。それを法人として確立してほしい」と釘を刺された。今後はこれまで以上に、協会の自浄能力が問われることになる。

 相撲は単なるスポーツではなく、神事でもある。その意味でも、相撲協会幹部や力士には担い手として自分自身に対する厳しさが求められよう。

 ファンの信頼裏切るな

 1月の初場所はモンゴル出身の横綱白鵬が28回目の優勝を果たしたが、初土俵から6場所目の遠藤が敢闘賞獲得の活躍を見せた。日本人力士が低迷する中、若手の台頭は相撲界の発展につながろう。

 相撲人気は回復しつつある。協会は、土俵に声援を送るファンの信頼を裏切ることがあってはならない。

(2月4日付社説)