露政府はソチ五輪のテロ対策に万全を


 ロシア南部保養地ソチでの第22回冬季五輪開幕(2月7日)まで10日余りとなった。現地での準備は着々と進められているようだが、最大の懸案は治安の確保である。すでに自爆テロ事件が昨年末、近くのボルゴグラードで相次いで2件発生し34人もの死者を出していることから、五輪の開幕前あるいは2月23日の閉幕までにテロ事件が起きるのではないかと懸念されている。プーチン政権は対策に万全を期す必要がある。

外国の協力が不可欠

 ソチ五輪阻止を公然と呼び掛けているイスラム過激派がこれまでのテロ実行犯とみられている。彼らは理想や信条のため、自分たちの命を犠牲にしてまでも暴力に訴える。残念ながら、武装テロ行為を食い止める手段は極めて限られている。

 新年7日からは空港や駅の警備態勢を最高レベルに引き上げた。プチコフ非常事態相は「同日をもって、安全に携わるすべての組織が臨戦態勢に入る」と宣言した。ロシア各地から4万人近い警官が動員されたという。プーチン大統領自ら新年休みを返上して、メドベージェフ首相とともにソチを訪れ、競技関連施設建設の進捗(しんちょく)状況とともに警備態勢を視察した。

 対策の重点は、武装勢力の巣窟といわれるダゲスタン共和国などから、爆発物の流入を阻止することである。また、ロシアとの係争を抱えている隣国グルジアからも五輪を妨害するテロ集団がソチにもぐり込んでくる恐れもある。ソチへの出入りが一段と厳重になったため、ソチはソ連時代にあったような「閉鎖都市」になったと報じられたが、ある程度やむを得ない措置だろう。

 テロ対策では外国の協力も不可欠である。ロシアにとって心強いのは、2006年にロンドンで起きた例の「リトビネンコ暗殺事件」以来疎遠になっていた英国とロシアの情報機関の関係が7年目の昨年後半に修復され、英国がテロ対策の経験を生かした警備協力を申し出たことだ。また、米連邦捜査局(FBI)は、テロ警戒のために数十人の要員をロシアに派遣することを決めた。米国は安全確保のためにロシア情報機関と協力し、20人前後の要員をすでにモスクワに派遣しており、今後さらに追加派遣するという。

 もう一つ、ソチ五輪をめぐっては外国要人の出席ボイコット問題が話題となった。欧米諸国の最高首脳のボイコットの理由は、ロシアが昨年、未成年者に対する同性愛宣伝を禁止する法律を制定したことだ。

 一方、安倍晋三首相はプーチン大統領との信頼関係構築のため、また北方領土問題解決につなげるためにも出席する方向で検討している。ソチで大統領との会談が実現すれば、第2次安倍内閣では昨年4月以来、5回目の日露首脳会談となる。

予断許さぬ領土交渉

 今月末には日露次官級協議が開かれるが、安倍首相の靖国神社参拝に対してロシア外務省は「第2次世界大戦の結果について世界で受け入れられているのと違う評価を押し付ける試み」と批判している。領土交渉に靖国問題を絡めてくる可能性もあり、予断は許されない。

(1月27日付社説)