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琉歌・御製から伝わる思い


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 24日開催された「天皇陛下御在位30年記念式典」では、沖縄出身の歌手・三浦大知さんが、天皇皇后両陛下の作詞作曲された琉歌(りゅうか)「歌声の響」を歌唱した。

 「だんじょかれよしの歌声の響き 見送る笑顔 目にど残る

 だんじょかれよしの 歌や湧上がたん ゆうな咲きゆる島 肝に残て」

 これは、天皇陛下が皇太子時代の1975年、沖縄を初めて訪ねられた時に詠まれたもの。名護市にある国立ハンセン病療養所「愛楽園」を訪問され、在園者から沖縄の船出歌「だんじょかれよし」(「まことにめでたい」の意味)が合唱された時のお気持ちを表している。

 琉歌は南西諸島で伝承される八八八六の叙情短詩形の歌謡。沖縄出身者でさえ詠むのが難しく、沖縄学の第一人者の外間守善氏もその才能に驚嘆したとされる。

 さて、天皇陛下は「歌会始の儀」で毎年、御製を詠まれている。皇居の宮内庁三の丸尚蔵館では現在、特別展「御製・御歌でたどる両陛下の30年」が開かれている。その中から、沖縄が題材となった2句を紹介したい。

 「波なぎしこの平らぎの礎と君らしづもる若夏(うりずん)の島」

 天皇陛下は平成6年、糸満市摩文仁の沖縄県平和祈念公園の「平和の礎」で戦没者を慰霊された後、国体の開会式に出席された時の情景を詠まれた。

 平成24年には、第32回全国豊かな海づくり大会(美ら海大会)御臨席の際に恩納村の万座毛を御訪問され、その時の情景を皇后陛下が翌年、「万座毛に昔をしのび巡り行けば彼方恩納岳さやに立ちたり」と詠まれた。18世紀の琉球王朝時代に思いを馳(は)せられたもので、恩納村はその年に歌碑を建立した。

 両陛下の沖縄に対する大御心は県民にしっかり浸透しているのだ。

(T)