女児虐待死で見えた沖縄の対応


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 千葉県野田市の小学4年生、栗原心愛(みあ)さんが自宅浴室で死亡し虐待が疑われている事件で、千葉県警は父親に続き、母親も傷害容疑で逮捕した。その母親は沖縄出身で、一家が野田市に転居する前の2017年8月まで糸満市に住んでいたことから沖縄県内にも衝撃が広がっている。

 「父親が娘を恫喝(どうかつ)し、母親がDV被害に遭っている」との相談が親族から寄せられていたにもかかわらず、糸満市の小学校や市教育委員会は、家庭訪問し心愛さんの安全を確認しなかったことが分かっている。

 学校の説明によると、父親が家庭訪問の日程を2度にわたってキャンセルしたため「会えなかった」という。父親から受けた暴力を知っていたかどうかについては、「手足など見える範囲にあざはなかった」と説明する。

 心愛さんは適切な食事を与えられなかったり、脅しや叱責を受けるなど、目に見えない暴力を受けている。表面だけでは分からない心のサインを受け止めることができなかったとすれば、残念だ。千葉の転居先の学校など関係機関との間で問題共有できていたかどうかも疑問が残る。

 学校と児童相談所との連携不足も問題だ。全国の児童相談所が17年度に対応した児童虐待のうち、約半数は警察からの通告で、学校経由は7%にとどまっている。

 警察庁の発表では、18年、児相に通告した18歳未満の子供は前年比22・4%増の8万104人で、04年に統計を取り始めて最多を記録した。

 沖縄県は756人で過去最多。そのうち、約6割が子供の前で配偶者に暴力を振るう心理的虐待の一種「面前DV」だった。県警は「重大事案に発展する前に芽を摘む」ことの大切さを指摘した。

(T)